著者
牛田 美鈴 小早川 義貴 新納 教男 越崎 雅行 山森 祐治 佐々木 晃 松原 康博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.361-366, 2009-07-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

56歳の男性が卓球中に突然心肺停止となりバイスタンダーCPR(cardiopulmonary resuscitation)を施行され,救急要請された。救急隊到着時automated external defibrillator(AED)の波形にてventricular fibrillation(VF)と思われたが除細動適応外と判断された。 4 回目の解析で除細動適応と判定されて除細動が施行され,自己心拍が再開した。入院後順調に経過し後遺症なく社会復帰に至った。冠動脈造影にて右冠動脈に99%狭窄を認めVFの原因と思われた。各社のAED解析ソフトはAHA(American Heart Association),AAMI(Association for the Advancement of Medical Instrumentations)の基準を満たすように作成されているが,いずれも感度は100%ではない。AEDの特異度を高くするためには感度がある程度犠牲となることはやむを得ず,除細動適応波形であるにもかかわらずAED解析の結果適応外と判断される症例が存在することをメディカルコントロール協議会を通じて救急隊員に周知する必要がある。その際,ショック不適応と判断されても絶え間ない胸骨圧迫を行い,解析を繰り返すことが重要であることを強調すべきである。