著者
新美 綾子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.4_33-4_44, 2011-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
42

新卒看護師が実施する輸液ラインのある患者の寝衣交換技術を看護教員と看護実践者が同時に観察する方法を通して,新卒看護師の看護技術に対する看護教員と看護実践者の評価の視点と到達基準を明らかにした。看護教員は技術面に焦点をあて,⑴教授内容である基本的な方法で行われているか,⑵患者を尊重した丁寧な実施であるか,⑶一人でやり遂げることができるかを評価の視点とし,看護技術を一人でやり遂げることを到達基準としていた。看護実践者は,臨床現場のやり方を基準に,⑴声かけなどの患者応対面はどうか,⑵患者に苦痛や危険がなかったかを評価の視点とし,臨床現場と同じ状態で患者に苦痛,負担なく安全にできることを到達基準としていた。さらに,看護実践者には,声かけと出来栄えにより看護技術全体の評価を決定づける傾向を認めた。また,看護実践者が評価の基準としている臨床現場のやり方を,看護教員は基本から離れている実施としてとらえる相違を認めた。