著者
新谷 寿美子 堀 裕子 山内 知子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.271-276, 1975-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

ゼラチン・アガーゼリーについて, 寒天とゼラチンの濃度を各4水準とし, 二元配置法によって実験した. その結果, 次の点が明らかになった.1) 凝固温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の凝固温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなる. ゼラチン濃度が 4% になると, 寒天濃度 0.3% ではゼラチンの凝固温度に近くなり, 0.5~0.9% では寒天の凝固温度より低下した.2) 融解温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の融解温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなるが, ゼラチン濃度が 4% になると低下する.3) 透過率はゼラチンまたは寒天のみのゼリーの透過率より減少する. 各ゼラチン濃度で寒天濃度の増加とともに低下するが, ゼラチン濃度が 3~4% になると寒天濃度間の透過率の差はきわめて少なくなる.4) ゼリー強度は寒天とゼラチンの濃度の増加とともに大きくなり, 凹みの大きさは寒天濃度の低いほど, ゼラチン濃度の高いほど大きくなる. 軟かさは寒天とゼラチン濃度の増加とともに小さくなるが, 寒天濃度 0.7~0.9%ではゼラチン濃度間の差はほとんどみられない.5) たわみ率は寒天とゼラチン濃度の増加に伴い小さくなる.6) 離漿率はゼラチン濃度の増加に伴い減少するが, ゼラチン濃度 3~4% では寒天濃度間にほとんど差がない.7) 食味の評価が普通以上で, 120 分たっても変形しないゼリーは, ゼラチン 1% に寒天 0.7~0.9%, ゼラチン 2% に寒天 0.5~0.7%, ゼラチン 3% に寒天 0.5%をそれぞれ混合したものである. またゼラチン 1% に寒天 0.5%, ゼラチン 3% に寒天 0.3%, ゼラチン4%に寒天 0.3% のゼリーは形は保っているが変形しやすい状態である.