著者
川辺 美穂 前川 理沙 土屋 一洋 日出山 拓人 椎尾 康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.2193-2200, 2015-10-10 (Released:2016-10-10)
参考文献数
10

症例は19歳,男性.聴力障害,左下肢失調および両下肢痙縮による歩行障害で発症した.頭部造影MRIでは脳幹を中心に増強効果を伴う点状の異常信号域が散在性にみられた.ステロイドパルス療法の効果は乏しく,CLIPPERS(chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids)症候群を疑い,経口ステロイド内服を開始したところ,下肢痙縮・画像所見ともに改善を認めた.特徴的な画像所見から本疾患を疑い,他疾患を除外したうえで早期に治療を行うことが重要と考えられた.
著者
前川 理沙 勝又 淳子 関 大成 日出山 拓人 佐藤 望 平 賢一郎 清水 潤 椎尾 康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.2316-2323, 2018-11-10 (Released:2019-11-10)
参考文献数
9

症例は39歳,男性.亜急性に進行する下肢筋力低下で入院した.末梢神経障害を認め,ステロイドで改善したが,減量開始から1年で症状が再燃した.再入院時の胸部単純CT(computed tomography)にて乳腺腫大を認め,女性化乳房がPOEMS(polyneuropathy,organomegaly,endocrinopathy,M-protein, skin changes)症候群(Crow-Fukase症候群)を疑う契機となり,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)の高値や骨硬化性病変等から診断に至った.胸腹水や浮腫はなく,M蛋白は陰性であった.骨病変に対する放射線治療のみで良好な経過を得た.本例は女性化乳房の検出に胸部CTが有用であった.