- 著者
-
植木 博子
吉村 英哉
日山 鐘浩
望月 智之
二村 昭元
秋田 恵一
- 出版者
- 日本肩関節学会
- 雑誌
- 肩関節 (ISSN:09104461)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.2, pp.369-371, 2014 (Released:2014-10-01)
- 参考文献数
- 7
小胸筋腱の停止が烏口突起をこえて延長する解剖学的破格は以前から知られている.過去に我々が調査した屍体解剖実習体では小胸筋延長腱の発現率は34.6%(81肩中21肩)であり,延長腱は烏口突起を越えて関節包の方に広がっていた.今回,肩腱板断裂症例において鏡視下修復術時に小胸筋延長腱の有無を確認し形態について観察した. 対象は2012年6月から12月までに当院で鏡視下腱板修復術を施行した腱板断裂症例25例(男性13例,女性12例)であった.術中にまず烏口突起基部を同定し小胸筋延長腱の存在を確認した. 延長腱は25例中10例(40%)に認められた.烏口突起に停止せずに上面を滑動し棘上筋の方向に向かい,烏口上腕靭帯とは明瞭に区別がついた. 臨床でも延長腱の発現頻度は比較的高く,その走行および付着の形態より肩甲上腕関節機能に影響を与えることが示唆された.鏡視下手術では延長腱の存在を留意する必要があると考えられた.