著者
山添 和明 日比野 千里 工藤 忠明 柳井 徳磨
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.739-745, 1994-08-15
被引用文献数
2

ハトに実験的上腕骨骨幹骨折を作製し, 骨セメント注入法とプレート固定法の併用が骨折の治癒機転に及ほす影響を検討するとともに, 飛翔能力の回復についての観察も行った. その結果, 骨セメント注入法あるいはプレート固定法単独では術後2週目以内に単純X線所見で全例再骨折を認めたが, 併用法では全例に再骨折を認めず, 術後6週目以降ほぼ正常な飛翔が可能であった. マイクロアンギオグラムおよび組織学的検査から骨セメントによる内仮骨形成の阻害が観察されたが, 血液供給は術後2週目ですでに回復しており皮質壊死像も認められなかった. また骨セメントが皮質骨折端間に高度に残存した場合皮質がつながらず, 海綿骨様化が認められた. しかし飛翔能力が早期に回復したことからプレートと骨セメントが骨折部の変位を防止する良好な支持体になると考えられた.