著者
日比野 雅彦
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-33, 2005-03-31

『ル・シッド』はコルネイユの代表作であるばかりでなく、フランス演劇を代表する作品として知られている。作品の書かれた17世紀前半は、フランスが混乱期から絶対王政へと移行する時期であり、社会に対する影響力の強かった演劇の世界でも、当然、作品は時代の雰囲気を反映するものとなった。『ル・シッド』は現代では恋愛劇ととらえられることもあるが、当時のパリの観客にとっては、スペイン軍の侵略を撃破する英雄ととらえられたはずである。また、主人公の一人シメーヌも女性でありながら、男性的性格が強く描き出され、独特の魅力となっている。
著者
日比野 雅彦
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.37-46, 2008-03-31

アレクサンドル・デュマの『三銃士』は19位紀フランスで書かれた小説の中でも人気の高いものの一つである。当時新たこ誕生したこの新開連載小説は、ダルダニヤンとその仲間たちの冒険とともに、フランスの歴史を再発見しようとした19牡紀の人々にとって時代の嗜好にあった作品であった。本稿は『三銃士』の文体を数量的に分析することでこの作品の劇的特徴と劇作家であったデュマの書いた小説の魅力を明らかにしようとするものである。
著者
日比野 雅彦
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.37-46, 2009-03-31

外国語を学ぶと文化の違いに気が付くことがある。とりわけ日常生活の表現にとまどうことが多い。専門的な内容を扱う語は一義的な意味しかもたないため問題は少ないが、日常語は同じような表現でも様々な意味をもつことが多い。また、生活に密着した食べ物や動植物にも表現に差異を伴うものが多く見られる。また、日本語は英語やフランス語と比べて擬音語が多いことも知られている。日常生活に関連する表現を調べてみると興味深い文化の様々な側面が見えてくる。
著者
日比野 雅彦
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies = Journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-58, 1998-07-31

モリエールはフランス17世紀を代表する喜劇作家として知られているが、彼の青年時代については2つの喜劇と2つの笑劇、いくつかの公正証書類以外ほとんど資料が残されていない。20代から30代前半の、役者としても作家としでも貴重な時期をどのように過ごしたかを知ることは、後の傑作を知る上でも重要なことといえる。一方、モリエールが創始者ともいわれる「コメディー・バレエ」は、パリ時代に数多く書かれ、晩年の喜劇作品では、台詞そのものが音楽性の高いものといわれている。モリエールの作品を論じる場合、このようにコメディー・バレエという新しいジャンルを抜きにすることはできない。モリエールは巡業時代に、コメディー・バレエとしての作品を残していないが、『相いれないもののバレエ』と呼ばれる作品の上演に関わった。このバレエはモンペリエの貴族たちの余興の一環として作られたもので、今日的意味で重要性に乏しい作品ともいえるが、言葉のない空間を駆使した作品であるがゆえに、役者モリエールにとってもまた喜劇作家モリエールにとっても意味のある作品であったと考えられる。