- 著者
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平原 智恵美
槙田 香子
遠藤 竜也
日浦 未幸
平井 克典
尾上 隆司
谷山 清己
川本 俊治
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
- 雑誌
- 医学検査 (ISSN:09158669)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.5, pp.640-647, 2014-09-25 (Released:2014-11-10)
- 参考文献数
- 8
今回,病院内の全心電計を管理できる心電図管理システムの導入による利用者の利用度並びに登録精度に及ぼす影響を明らかにする.平成23年9月に呉医療センター・中国がんセンターでは電子カルテ更新,全業務のペーパーレス運用に伴い,無線LANを用いて院内全心電計を一元管理できるシステムを導入した.従来のオーダエントリーシステムによる生理検査室での心電図実施に加え,救急外来や病棟などで実施する部門心電図は,心電計で患者IDを登録するか,心電図サーバで患者IDを修正登録し実施した.さらに医用波形標準化規約Medical waveform Format Encoding Rules(MFER)を利用して過去11年間の他社製心電図ファイリングから新システムへの波形移行を行うことにより,新システム上で同一患者の過去心電図を閲覧可能とした.心電図管理システム導入により,部門実施心電図件数は増加し,対全心電図件数比率も増加し,3割以上に達した.患者IDが登録されていない心電図比率は6ヶ月後には減少した.また,職員健康診断の心電図も紙運用であったが,全職員のカルテ番号を作成し,一元管理とした.結語:MFERを活用した過去心電図ファイリング波形の移行ならびに統合心電図管理システムの導入で,心電図管理および利便性が著しく改善し,患者誤認防止にも有効であった.