著者
愛甲 美穂 日高 寿美 石岡 邦啓 五十嵐 愛子 坊坂 桂子 山下 昭二 持田 泰寛 守矢 英和 大竹 剛靖 高橋 宏 小林 修三
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-224, 2016 (Released:2016-03-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3

透析患者は末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease : PAD) の合併が多く, 重症虚血肢に至ると予後は著しく不良である. 予後改善にはPADを早期に診断・治療することが重要である. 足病変とPADの有無に基づき6つに区分し, 各区分に対するフットケアの間隔と内容を定めたフットケアプログラム (鎌倉分類) を策定した. 当院外来維持血液透析患者を対象に, 鎌倉分類導入前の2011年度群 (n=185) と, 導入後の2012年度群 (n=196), 2013年度群 (n=196) とに分け, 下肢潰瘍と切断発生件数をCochran-Armitage傾向検定を用い比較検討した. 新規潰瘍発生は, 2011年4.9件/100人・年であったが, 2012年3.1件, 2013年1.5件と有意に減少した (p=0.03). 下肢切断発生症例はすべて小切断で, 2011年1.6件/100人・年, 2012年1.0件, 2013年0.5件と推移した (p=0.14). 足病変を有する群で足関節および足趾上腕血圧比は足病変を有さない群に比較して低値であった. 足病変の有無を加味した透析患者における鎌倉分類はフットケアプログラムとして有用であり, 早期介入の意義が示唆された.
著者
五十嵐 愛子 愛甲 美穂 大平 吉夫 今井 亜希子 守矢 英和 日高 寿美 大竹 剛靖 小林 修三
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.130-134, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
5

【要旨】当院では 2011年6月より月 2 回フットウェア外来を開設し,義肢装具士とともにフットケア指導士である看護師が介入する外来を行っている.今回,当外来の受診率,基礎疾患,切断部位など横断的研究を行い,フットケア指導士の役割を検討した.2015年6月末までの 4 年間に当外来を受診した患者数は 304 名(延べ 1,614 名),男性 133 名,平均年齢 64 歳であった.基礎疾患は糖尿病 129 名,慢性腎臓病(CKD) 91名(透析 76 名),関節リウマチ 14 名であった.末梢動脈疾患(PAD)合併患者が 81 名で,下肢潰瘍の患者は 62 名であった.大切断 13 名,足趾切断 34 名,外反母趾などの足変形が 94 名であった.受診状況は終了 156 名,中断 65 名,継続中 83 名であり,通院継続率は 78.6% であった.フットウェア外来におけるフットケア指導士の役割は,外来補助を行いながら同時に必要なケアや教育を行うことにあると考える.外来受診時に行うケアや教育により,フットウェアの重要性を繰り返し教育することが可能となり,通院継続率を比較的高く保つことに貢献できたと考える.