- 著者
-
武本 重毅
ポルンクナ ラティオン
日高 道弘
河野 文夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本血液学会
- 雑誌
- 臨床血液 (ISSN:04851439)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.7, pp.848-853, 2016 (Released:2016-08-05)
- 参考文献数
- 18
成人T細胞白血病(ATL)患者(n=32)の可溶性CD25 (sIL-2R)ならびにCD30 (sCD30)の治療開始前血清レベルとリンパ節病変ならびに節外病変との関係を調べた。血清sIL-2Rレベルはリンパ節病変(領域)数(ρ=0.660, P=0.001)と,血清sCD30レベルは末梢血中ATL細胞数(ρ=0.456, P=0.009)との間に正の相関を認めた。次に初回治療前の胸水ならびに肺門リンパ節腫脹を検討できた24例について,その肺病変と末梢血中ATL細胞数,血清LDHレベル,sIL-2Rレベル,sCD30レベルとの関係を調べた。その結果,末梢血中ATL細胞数と腫瘍性肺病変との関連が疑われた。観察されたsIL-2RおよびsCD30血清レベルの上昇からは,リンパ節病変あるいは節外病変との関連が示唆され,ATL病態に関わる生体内メタロプロテアーゼ活性の指標となるかもしれない。