著者
須田 和義 菊田 信一 早川 一博
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.359-363, 1999 (Released:2009-10-16)
参考文献数
15

目的 : 腰椎麻酔は肛門部手術においても有用な麻酔法であるが麻酔後の頭痛は大きな難点である.27, 29Gの脊麻針はこの頭痛の発生をかなり減少させるといわれ, 著者らは27Gのウイッタカー針を主として使用し他細径脊麻針25, 27, 29G針と頭痛頻度を比較した.対象と方法 : 対象はsaddle block麻酔で内痔核根治手術を施行した2,024症例で, 25, 27, 29Gのクインキー針, 27Gのウイッタカー針を使用し, 術後の入院期間中に頭痛の有無を調べた.結果 : 27Gウイッタカー針で頭痛の発生頻度は0.7%, 29G, 27G, 25Gクインキー針ではそれぞれ, 2.0, 3.7, 10%であった。27, 29Gの脊麻針では皮膚穿刺のintroducerを使用する煩雑さがある.29Gでは穿刺強度不足も経験された.結論 : 27Gウイッタカー針は頭痛の発生頻度において最も細径の29G針に劣らず, 強度もほぼ不足はなく, 腰麻後の頭痛を効果的に減少させ, きわめて有用な脊麻針と考えられた.