著者
宇都宮 高賢 柴田 興彦 菊田 信一 堀地 義広
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.169-174, 2005 (Released:2009-06-05)
参考文献数
26

難治性の慢性直腸肛門痛症例,男性19人,女性42人について肛門管内を双極刺激電極を挿入し低周波電気刺激を週1~2回,一回5分間行いその効果について検討した.これら症例のうち男性9人,女性12人について低周波電気刺激前後における左側肛門管組織血流量の測定を行った.症例の肛門内圧検査を行い随意最大収縮圧100mmHg以上の症例(機能正常群)と100mmHg以下(機能低下群)に分けて検討した.男性では,機能正常群が多く,女性では機能低下群が多かったが,慢性直腸肛門痛との関連はなかった.痛みが消失するまでの刺激回数は平均3.5±1.6回であり,98%に効果を認め,59%に痛みの完全消失が得られた.肛門管組織血流量,血流速度は低周波電気刺激により男性で64%,女性で33%の有意な増加がみられた(p<0.Ol).肛門管内低周波電気刺激は,慢性直腸肛門痛症例に対して簡便有効な治療方法であった.
著者
須田 和義 菊田 信一 早川 一博
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.359-363, 1999 (Released:2009-10-16)
参考文献数
15

目的 : 腰椎麻酔は肛門部手術においても有用な麻酔法であるが麻酔後の頭痛は大きな難点である.27, 29Gの脊麻針はこの頭痛の発生をかなり減少させるといわれ, 著者らは27Gのウイッタカー針を主として使用し他細径脊麻針25, 27, 29G針と頭痛頻度を比較した.対象と方法 : 対象はsaddle block麻酔で内痔核根治手術を施行した2,024症例で, 25, 27, 29Gのクインキー針, 27Gのウイッタカー針を使用し, 術後の入院期間中に頭痛の有無を調べた.結果 : 27Gウイッタカー針で頭痛の発生頻度は0.7%, 29G, 27G, 25Gクインキー針ではそれぞれ, 2.0, 3.7, 10%であった。27, 29Gの脊麻針では皮膚穿刺のintroducerを使用する煩雑さがある.29Gでは穿刺強度不足も経験された.結論 : 27Gウイッタカー針は頭痛の発生頻度において最も細径の29G針に劣らず, 強度もほぼ不足はなく, 腰麻後の頭痛を効果的に減少させ, きわめて有用な脊麻針と考えられた.
著者
宇都宮 高賢 柴田 興彦 菊田 信一 堀地 義広 河野 豊一 八尾 隆史
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.251-258, 2006 (Released:2009-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

痔核組織に認められる肛門腺(男性22人,女性20人)と痔瘻瘻管内に見られる肛門腺(男性30人,女性7人)の組織学的特徴と男女間の比較検討を行い,その意義について検討した.痔核組織内肛門腺は,導管直走型,下行性が多く,管壁は移行上皮に被覆され,男性は円柱上皮を併存する症例が多かった.管壁の厚さ,外径,内径の男女差はなく,Herrmann線からの距離肛門腺の長さにも違いはなかった.痔瘻瘻管内の肛門腺は,円柱上皮より成るものが男性で多く,女性では扁平上皮化生した肛門腺の割合が多かった.管壁の厚さ,外径は男女差はないものの,管腔内径は男性が有意に広かった.粘液産生能は女性に陰性例が多く,扁平上皮化生した部位では粘液産生はなかった.肛門腺の感染の要因には,管壁が円柱上皮で被覆され,管腔の内径が広くなることであり,感染が消退するには,扁平上皮化生し,管腔が閉鎖する事と考えられた.
著者
宇都宮 高賢 柴田 興彦 菊田 信一 堀地 義広
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.169-174, 2005-03-01
参考文献数
26
被引用文献数
1

難治性の慢性直腸肛門痛症例,男性19人,女性42人について肛門管内を双極刺激電極を挿入し低周波電気刺激を週1~2回,一回5分間行いその効果について検討した.これら症例のうち男性9人,女性12人について低周波電気刺激前後における左側肛門管組織血流量の測定を行った.症例の肛門内圧検査を行い随意最大収縮圧100mmHg以上の症例(機能正常群)と100mmHg以下(機能低下群)に分けて検討した.男性では,機能正常群が多く,女性では機能低下群が多かったが,慢性直腸肛門痛との関連はなかった.痛みが消失するまでの刺激回数は平均3.5±1.6回であり,98%に効果を認め,59%に痛みの完全消失が得られた.肛門管組織血流量,血流速度は低周波電気刺激により男性で64%,女性で33%の有意な増加がみられた(p<0.Ol).肛門管内低周波電気刺激は,慢性直腸肛門痛症例に対して簡便有効な治療方法であった.