著者
早瀬 伸子 横山 桂子 五十嵐 慈保子〔他〕
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.57-64, 1997-02-07

1996年度,親の希望も参考にして個別指導目標を作成し,その具体的な指導の手だてを考え,学習時間,休み時間,給食時間,清掃時間などに継続して個別に指導した。二学期末に,児童はチャイムがなると学習の用意をし,静かに課題に取り組むようになった。3年のD君は,一学期一時間に何度も教室から飛び出し,自分の好きな所に行こうとし,それが阻止されると叩いたり噛じった。二学期末には,絵カードでトイレやパソコンなど自分のしたいことを伝え,指示や課題に素直に取り組むようになり,教室から飛び出さなくなった。2年のAちゃんは,一学期は突然泣き出したり,人を叩いた。二学期末には,泣き出すことが少なくなり,級友と追いかけっこをし,課題に取り組むなど予想以上の成果を得た。
著者
早瀬 伸子
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-92, 1987-03-15

財団法人ふきのとう文庫は,障害をもつ子どもたちが本の楽しさと出会えるようにと願い,日本で最初の障害をもつ子どもも利用できる私立児童図書館を開設し,絵本を製作し,貸し出しをしているユニークなボランティア団体である。最初に,その設立理念と歴史的経過,活動内容について記述し,今後の発展のための課題をいくつか示した。次に,活動の一つである障害児のための布の絵本の使用実態を調査し,さらに,布の絵本を手指運動機能の発達段階と認知思考機能の発達段階に対応させて分類し,障害児の遊具としての有効性について考察した。障害児の遊具としての布の絵本は,その色や形が,軽度の精神発達遅滞児の興味・関心を誘発し,マジックテープやスナップ・ボタンなどの操作により手指運動機能を向上させ,色・形・数字の認知弁別能力を育成する。