著者
内藤 郁夫 昇 愛子 車 政弘
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.19-28, 2004-07-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
35

庄内地方(鶴岡と酒田)・会津若松市・長岡市は絵蝋燭の産地として知られている。これらの地域で絵蝋燭業者や技術者に聞き取り調査を行い、伝統的絵蝋燭の図案を中心にその歴史や製造における特徴や利用法を研究した。絵蝋燭は18世紀中頃に庄内地方と会津で開発された。会津若松には3つの絵蝋燭のタイプがあった。一つは、牡丹や菊の絵が描かれた日本画タイプ、一つは、筆・笥・巻物の形に似せた細工蝋燭、あと一つは蒔絵タイプである。庄内の伝統絵蝋燭は御所車の図柄で代表される日本画タイプである。ー方長岡の絵蝋燭は会津若松より伝播したといわれ、牡丹・菊・甕・台の図柄で特徴すけられる。この中で、甕と台は会津若松で忘れられた図柄である。いずれの産地の伝統的絵柄は花篭模様が多<、磁器の影響が示唆される。これらの地域では、江戸時代より仏事に絵蝋燭が使用される。これが絵蝋燭製造の統いた理由である。