著者
星乃 治彦
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近代ドイツを事例に、軍隊宮廷内における「男性」性の歴史的構築過程および「同性愛の歴史的機能」の分析を進めた結果、ヘテロ・セクシュアルによって解釈されてきたと考えられる歴史を別の観点から考察することの重要性が明らかとなった。また、who's Who in Gay and Lesbian History,London,2001の翻訳作業を進めるなかで、古代、中世、近世、近代、現代といった時代による特質を抽出した。さらに、クィア学会や性同一性障害学会等との交流を通じて、歴史学のみならず社会学や臨床心理学、精神医学などセクシュアリティに関する隣接学問からの知見を得ることで、そもそも「同性愛」「同性愛者」が問題なのではなく、それを作り上げていく社会や政治を解明することの必要性も浮き彫りになった。こうした作業をもとに、歴史の中で「性」=関係性(あるいは差別の体系)がいかにして作り上げられたのかを、西洋史全体の中に位置づけることが可能となった。
著者
星乃 治彦
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.779-807, 2005-03-09