著者
但木 孝一 朝田 知子 川上 秀明 春日 一孝 黒瀬 茂
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.941-948, 2008-08-01

近年の抄紙マシン汚れの原因は,原料事情の悪化や中性抄紙化等の影響で大きく変化してきている。中でもDIP等の古紙の高配合化による抄紙マシン系内への多量の夾雑物の混入は,汚れトラブルの大きな要因になっている。そして抄紙マシンの操業性・生産性向上のためには,この汚れ対策が重要なポイントになっている。<BR>これまで弊社では,抄紙マシンの汚れについて化学的,微生物的な分析手法を用い原因物質を特定し,同時に対応薬剤の選定を迅速に行なってきた。古紙由来の疎水性ピッチに対して有効な高機能凝結剤として開発を続けている「リアライザーAシリーズ」と繊維及び填料等の微細成分の歩留り向上に有効な高機能歩留り剤「リアライザーRシリーズ」,「レクサーFXシリーズ」の組み合わせからなるウエットエンド改質システム「アクシーズシステム」は多くのマシンで使用され効果を発揮している。また昨年発表した次世代型ASAサイジングシステム「レグシス」によるサイズ剤定着性の向上は,ウエットエンドの最適化と同時に抄紙マシンの汚れ対策の面で大変重要な役割を果たす。更に上記システムに新規微生物コントロールシステム「キュアサイドシステム」を組み合わせることにより化学的・微生物的両面から抄紙マシンの汚れ対策を大きく改善できる。
著者
大石 浩之 但木 孝一 春日 一孝 藤田 幸裕
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.142-149, 2014
被引用文献数
1

近年,抄紙マシンのクローズド化やパルプ原料の悪化等のため,各種内添薬剤の効果が発揮しにくい状況へ変化してきている。特に古紙や填料の高配合化で歩留り剤,紙力剤,サイズ剤等の各種ウエットエンド薬剤の添加量が増え,抄紙マシンの汚れや紙面欠陥の問題を抱えるマシンが増加している。<BR>弊社で開発を進めてきた「リアライザーAシリーズ」は,粘着性ピッチや紙面欠陥対策等に有効な高機能凝結剤で,パルプ原料の前処理段階に適用する特殊なカチオン性ポリマーである。また高機能歩留り剤「リアライザーRシリーズ,FXシリーズ」は低添加で高い歩留り物性が得られる様々な構造を有する高分子量特殊ポリマーとなっている。<BR>現在,これらの薬剤を組み合わせて添加する次世代ウエットエンド改質システムを「アクシーズシステム」と命名し,更なる抄紙マシンの操業性,生産性向上のためのテストを実施している。<BR>本報告では,アクシーズシステムを適用した板紙マシンや洋紙マシンでの歩留り物性の向上及び欠陥数低減や紙質向上等の例を報告する。
著者
但木 孝一 朝田 知子 春日 一孝
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1159-1163, 2009
被引用文献数
4

近年の抄紙マシンは大型化,高速化等が進む中で省エネ,省資源化が重要な課題になっている。これまで弊社では,ウエットエンドを最適化することにより抄紙マシンの汚れ低減や操業性の向上等に有効な歩留り剤や凝結剤「リアライザーシリーズ」の開発を続けてきた。これらの試みの中でウエットエンド改質システム「アクシーズシステム」を適用することにより各種ウエットエンド薬剤の添加量を削減できる点や排水負荷を低減できる点等,環境負荷低減につながる効果が見出してきた。<BR>また最新のASAサイジングシステム「レグシス」の開発によりサイズ剤等の添加量の大幅な削減を目指している。高機能乳化剤「レグシスEシリーズ」を適用することにより,各種添加薬剤のパルプ繊維への定着性を向上させ,サイズ効果以外の面でも効果を発揮できるように開発を進めている。弊社では,環境負荷低減に重きを置いた薬剤を開発し,様々な角度からテストを実施している。