著者
長尾 義行 朝田 知子 加藤 美穂 黒瀬 茂
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1152-1160, 2006
被引用文献数
6

近年,製紙業界では生産性,操業性,品質の向上だけでなく地球環境への配慮が大きな課題となっている。そのため抄紙系内では,工場排水に起因する環境への負荷低減のためのクローズド化が急速に進んでいる。また地球資源及び環境面から古紙配合率が高まり,抄紙系内のピッチ成分やアニオントラッシュ等の夾雑物が増加している。このように抄紙条件は,年々厳しさを増しており,ウエットエンドでの各種薬剤の本来の効果を発揮するのが難しくなっているため,これまでに無い高機能な薬剤が必要とされてきている。<BR>弊社では,厳しいウエットエンド条件下で各種添加薬剤の効果を最大限に引き出すために高機能化した凝結剤として,ウエットエンド改質剤「リアライザーAシリーズ」を開発してきた。更に微細繊維や灰分の歩留りに効果的な高機能な歩留り剤「リアライザーRシリーズ」,「レクサーFXシリーズ」の開発にも最新のポリマー合成技術を導入して取り組んできた。これらの最新の薬剤から構成されるウエットエンド改質システムが「アクシーズシステム」である。更に長年に亘り培ってきた抄紙工程でのスライムコントロール技術を集約した微生物コントロールシステム「キュアサイドシステム」を構築し,ウエットエンドのトータル的な最適化を検討している。これらは,最小限の添加量で最大限の効果を発揮し,同時に各種ウエットエンド添加薬剤の削減も可能であるため環境負荷低減に貢献できるシステムである。
著者
但木 孝一 朝田 知子 川上 秀明 春日 一孝 黒瀬 茂
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.941-948, 2008-08-01

近年の抄紙マシン汚れの原因は,原料事情の悪化や中性抄紙化等の影響で大きく変化してきている。中でもDIP等の古紙の高配合化による抄紙マシン系内への多量の夾雑物の混入は,汚れトラブルの大きな要因になっている。そして抄紙マシンの操業性・生産性向上のためには,この汚れ対策が重要なポイントになっている。<BR>これまで弊社では,抄紙マシンの汚れについて化学的,微生物的な分析手法を用い原因物質を特定し,同時に対応薬剤の選定を迅速に行なってきた。古紙由来の疎水性ピッチに対して有効な高機能凝結剤として開発を続けている「リアライザーAシリーズ」と繊維及び填料等の微細成分の歩留り向上に有効な高機能歩留り剤「リアライザーRシリーズ」,「レクサーFXシリーズ」の組み合わせからなるウエットエンド改質システム「アクシーズシステム」は多くのマシンで使用され効果を発揮している。また昨年発表した次世代型ASAサイジングシステム「レグシス」によるサイズ剤定着性の向上は,ウエットエンドの最適化と同時に抄紙マシンの汚れ対策の面で大変重要な役割を果たす。更に上記システムに新規微生物コントロールシステム「キュアサイドシステム」を組み合わせることにより化学的・微生物的両面から抄紙マシンの汚れ対策を大きく改善できる。