- 著者
-
松下 恭之
佐々木 健一
郡 英寛
江崎 大輔
春田 明日香
古谷野 潔
- 出版者
- Japan Prosthodontic Society
- 雑誌
- 日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.1, pp.1-9, 2008-01-10
- 参考文献数
- 41
- 被引用文献数
-
7
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オッセオインテグレーションインプラントは, 表面性状の改善や埋入システムの確立により, 5年程度の中期経過では100%に近い生存率も報告されている. しかし一方で長期の使用に伴い, 破折などの機械的偶発症と支持骨の吸収などの生物学的偶発症が増加することが報告されている. この原因は多様だが, インプラントに付与した咬合から生じたオーバーロードが偶発症の主な因子のひとつとして上げられている。<br>インプラントの咬合において, オーバーロードを引き起こすと考えられるリスクファクターについて疫学研究と基礎的研究のレビューを通して, 現状を整理した.<br>天然歯とインプラントが混在する場合の咬合については, 当初被圧変位量の差を考慮すべきとされたが, 現在これを積極的に肯定する研究は少なく, むしろ被圧変位量の分だけ低くした咬合を付与した場合に, 顎関節や隣在歯などへの影響を危惧する報告も散見される. 現状では, 天然歯と同様の接触を与えても臨床的な問題は少ないと考えられる.<br>側方ガイドや咬合力の側方成分, カンチレバー, 広すぎる咬合面幅によるオフセットローディングなどの非軸方向荷重については, 曲げモーメントとして作用するため, 軸方向荷重よりもその影響は強いと思われる. しかしながら生物学的に影響ありとした疫学データは見られない.<br>天然歯とインプラントの連結については, メタ解析の結果により骨吸収へのリスクが示唆されている.