著者
曹 大峰
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.178, pp.66-78, 2021-04-25 (Released:2023-04-26)
参考文献数
16

2000 年以降,中国(大陸)の日本語教育は,世界の流れと中国の社会経済の発展を背景に,教育規模,教育理念と実践,教育目標と評価基準,教育研究と教師研修などの面で大きな変容があった。当面の課題には,規模調整と格差縮小,環境整備と目標転換,理念更新と実践連結,新スタンダードの効果的適用,教育研究と教師研修の継続的発展などあるが,今後の再構築の行方として,各教育段階(初等・中等・大学専攻・大学非専攻・大学院)間の多角的連携と均衡的発展が望まれている。そのためには,引き続き国際間特に中日両国間の交流と協働が不可欠であろう。
著者
曹 大峰
出版者
お茶の水女子大学日本言語文化学研究会
雑誌
言語文化と日本語教育 (ISSN:09174206)
巻号頁・発行日
no.35, pp.1-9, 2008-07

海外の日本語教育では、教科書の役割が大きい。中国でも明(1368年)の時代から日本語教育が始まり、教科書の作成が時代とともに発展してきたが、20世紀70年代以来、中日国交正常化により日本語の学習が特に盛んになり、教材作成は主に素材補強→素材改善→素材統合の方向で進んできた。現在、さらに教材研究を通して言語学・外国語教育学・教育工学など広く学際的な成果を盛り込んだ新しい日本語教材の開発が進んでいる。本稿では筆者所属の北京日本学研究センターで実施された「中国の日本語教育における主幹科目"総合日本語(精読)"に関する総合研究」と「中国の日本語教育のための新しい教材像に関する研究」の成果を踏まえて、教育部「十一五」教材出版計画で実施中の新教材編纂のための総合シラバス研究を事例に、中国における大学専攻用日本語教科書作成の現状と課題を論述する。