著者
坪井 邦明 曽布川 三枝 志村 哲
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.359-360, 1992-09-28
被引用文献数
1

日本の伝統楽器である尺八は,ポピュラー音楽のみならず芸術音楽の分野でもよく使用されるようになってきた。尺八では伝統的に仮名文字による奏法譜(本稿では便宜的に文字譜と呼ぶ)が用いられ,尺八奏者の多くはそれでなければ演奏できないが,作曲家や編曲者のほとんどはその記譜法に通じておらず,また,西洋楽器との合奏等の必要により,五線譜を用いることが多い。そのためこのような曲の演奏にあたって,奏者自ら五線譜を文字譜に変換しなくてはならない場合も多々生じる。しかも現代音楽の要求は必ずしも尺八の特性に則したものではないため,出来るだけ容易に作曲家の要求を満たせる楽器を選択し,その上で文字譜に変換するという,厄介な作業が必要となる。我々はこのような作業を支援するため,五線譜に準ずる記述から尺八文字譜を作成するシステムの開発を進めている。実際の編曲例などの調査結果を反映させることで,通常の歌曲(唱歌など)程度のものに対しては良い結果が得られるようになったので,報告する。