著者
松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.99, no.51, pp.51-56, 1999-05-29
参考文献数
8
被引用文献数
4

尺八には様々な流派があり, 尺八譜に用いられる譜字やその運指法/奏法は, 流派毎に異なっている. 筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究を行っているが, このような違いがデータの共有化やシステム開発の効率化の妨げとなっていた. この問題を解決するために, 昨年度, 尺八譜のための標準データ形式C0MS0を提案した. 今回, C0MS0を内部コードとして用いることにより, 開発中の尺八譜情報処理システムを複数流派への拡張が容易に行えるようになったので報告する.
著者
野口 将人 志村 哲 坪井 邦明 松島 俊明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.954-962, 2005-05-01
被引用文献数
1

音楽情報処理システムは, 対象を西洋音楽に限れば, 五線譜に基づく自動読取りやその他の入力方式・装置が数多く開発・製品化されており, 特にデスクトップミュージックと呼ばれるソフトウェアの普及により, 作曲・演奏, 楽譜の作成・印刷などが効率的に行えるようになった.しかし, 日本の伝統音楽をはじめ諸民族の音楽の多くは, 五線譜とは表現方法の異なる各楽器特有の記譜法が用いられており, それらに対応できるシステムが必要である.ところが, これまでこの研究・開発例は少ない.このような状況を改善するために, 尺八楽譜の情報処理システムに関する研究を行った.本システムは, 手書きによる入力編集機能, 伝統音楽に特有な様々な流派の異なる楽譜間の相互変換機能, 演奏方法の表示を伴った発音機能等, 尺八楽譜情報の処理に有用な様々な機能を備えたマルチメディアシステムとなっている.また, 本研究においては, 計算機処理を可能とするために, 尺八楽譜のデータ表現方式を新たに考案した.本システムにより尺八楽譜作成の効率が向上するばかりでなく, 西洋楽器との合奏用楽譜作成支援ツールや, 初心者の尺八の独習用ツールとしての有効性も期待できる.
著者
志村 哲 坪井 邦明 松島 俊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.50, pp.17-24, 1993-06-06
被引用文献数
5

日本音楽研究に情報処理的手法を適用する方法と,その諸問題について尺八音楽を例に述べる.はじめに演奏研究の立場から,音楽様式固有の特徴を反映させることの重要性を古典本曲を例に指摘する.つぎに,現在開発中の日本音楽における計算機上での楽譜の表現形式を提案するとともに,その適用例として五線譜と尺八譜との記号レベルでの変換処理の方法と活用法を示し,有効性と拡張性を検証する.また,伝統的尺八譜の画像情報からの認識技術について,津山流楽譜を例に楽譜の特徴量抽出の方法論と現在構築中のシステムの概要を紹介し,その諸問題を検討する.As the example of the information processing of traditional Japanese music, the methodologies and problems of shakuhachi (wind instrument made of bamboo) music processing are described. At first, from the view of performing shakuhachi, it is pointed out that it is important for music processing to represent unique features contained in individual music style, especially for classical shakuhachi honkyoku (main or original piece). Next, music representation language for traditional Japanese music notation is introduced. It is able to translate between western standard notation and Japanese notation by applying this language. Its effectiveness and expansibility are also described. Finally, an experiment of shakuhachi score recognition is described. Its recognition methods and the system configuration are introduced, and the remaining problems are described.
著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.53-58, 2002-10-25
被引用文献数
1

本研究は、日本独特の楽器である尺八の楽譜(尺八譜)をコンピュータで処理するための研究であり、現在Windows上で動作する対話式の楽譜入力システムを開発している.昨年度、筆者らは本システムを「尺八くん2001」として発表を行い、さらに試用希望者への配布を行った.その結果得られた意見を元に、システムの評価と改善を行った.また、標準MIDIファイルの歌詞部に譜字名を記録する手付け補助、ユーザーが指定した演奏時間に合わせて楽譜がスクロールする自動譜めくりなどの新機能を追加し、更に高機能なシステムとなったので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. Last year, we released the system as "Shakuhachi-Kun 2001", and distributed it to whom interested in our system. We evaluated the received comments, and improved the system based on them. In addition, we added several functions to the system, such as addition Fuji name in the lyric part of SMF, automatic page turning of score during playing, and so on. As a result, we have been abele to provide the higher quality system for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
長沢 理恵 松島 俊明 坪井 邦明
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.103, pp.39-44, 1994-11-19

尺八譜(都山流)を対象として,イメージスキャナで取り込んだ尺八譜画像の自動読み取りシステムと,手書き入力による対話型尺八譜入力・編集システム(尺八くん)の開発を行っている.今回,尺八くんに,演奏機能と指使いの表示機能を付加し,譜字,音,指使いの3種の情報を同時に得られるようにした.編集機能の強化,印刷機能,SMFファイル経由による五線譜での表示機能等も追加した.これにより,尺八譜の入力・編集システムとしての用途の他に,尺八演奏の練習システムとしても利用できる見通しが得られた.We are developing a system which can input and edit, the Shakuhachi tablature. We added the function of fingering and sound output to the system, and it is named Shakuhachi-kun. Shakuhachi-kun is a multi-media system for the Shakuhachi tablature. The user can not only input and edit the Shakuhachi tablature by easy pen operations, but also obtain musical information of Shakuhachi tablature as notes (fuji), sound and fingering synchronously. We presume Shakuhachi-kun will be useful for the learning system of Shakuhachi.
著者
松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.74, pp.9-16, 1998-08-07
参考文献数
17
被引用文献数
6

尺八には様々な流派があり,尺八譜に用いられる譜字やその運指法/奏法は,流派毎に異なっている.尺八譜情報の計算機処理にとって,これらの違いがデータの共有化やシステム開発の効率化の妨げとなっている.この問題を解決するために,尺八譜のための標準データ形式COMSOを提案する.本報告では,全ての流派の全ての譜字に統一的な譜字コードを与える方法と,尺八譜のための記述言語の概要について述べる.There exist some Shakuhachi schools. Although Fuji (notation character in Shakuhachi tablature) represents fingering and blowing techniques, a set of Fuji used in each school is different among schools. These differences tend to be an obstacle for the computer processing of the Shakuhachi tablature. In order to solve this problem, we propose COMSO: COMmon representation language for Shakuhachi nOtation. This paper reports on the method to give the unique code for every Fuji and on the grammar for the Shakuhachi tablature description language.
著者
坪井 邦明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.345-346, 1995-03-15

民族音楽の研究などでは,必ずしも五線譜で表わせる情報だけで充分なわけではなく,五線譜では抜け落ちてしまうものに重要な意義のある場合がある.演奏された結果を,抜け落ちる情報を極力少なく,正確に表そうとするものを記述的記譜などと呼び,その際必要となる微妙な音程や音長も表現できるように,五線記譜法を拡張することもある.しかし,そのような微妙な情報も,その演奏者に意識されているとは限らない.演奏者にとっての音楽の意味を理解するには,その演奏者にとっての音楽の規範を検討する必要がある.演奏における規範を示すのに,奏法譜は有効である.例えば,音楽の種類によっては演奏法やそれによる音色の変化などに重要な意味がある場合がある.そのようなものは,いわゆる五線記譜法では表わし難いのに対し,奏法譜はまさにそれを表している.筆者らはこれまでにも,主に民族音楽学的な研究での利用を目的とした情報処理システムにおいて,尺八の奏法譜および三線(沖縄の三味線)の奏法譜「工工四」を扱って来た.今回は,三味線旋律のデータベース化を目指して,三味線(日本本土の)の奏法譜の一種である「文化譜」を対象にした情報処理を試みた.
著者
松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.16, pp.93-100, 2001-02-22
被引用文献数
4

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究の一環として尺八譜のための標準データ形式COMSOを提案し,これに基づいたシステムの開発を進めてきた.COMSOコードは,基本音階における各音は流派によらず同じ奏法によるものと仮定し,原則として音高,指遣いのみに基づいて機械的に決定できる譜字コード体系である.しかし,各流派の教授資料を詳細に比較した結果,指遣いも含めた演奏方法に相違があり,すべての音階音を各流派間で一意に対応付けることができないことが判明した.この問題を解決するためにCOMSOコードの全面的な改定を行い,併せて新しい音価表記法の提案および尺八譜処理システムのユーザインタフェースの見直しを行い,尺八譜の作成・出版業務の支援を可能とするシステムとして再構築を開始したので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. In order to handle multiple schools (ryu-ha) in Shakuhachi, we proposed COMSO: COMmon representation language for Shakuhachi nOtation. We designed COMSO on the assumption that basic notes of each school are the same fingerings. According to the recent researches, there exist some examples against above assumption. To resolve this problem, we renew COMSO and designed new time value representation method. In addition, we redesign user interface of the Shakuhachi tablature information processing system, and start to build the system applicable for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
坪井 邦明 曽布川 三枝 志村 哲
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.359-360, 1992-09-28
被引用文献数
1

日本の伝統楽器である尺八は,ポピュラー音楽のみならず芸術音楽の分野でもよく使用されるようになってきた。尺八では伝統的に仮名文字による奏法譜(本稿では便宜的に文字譜と呼ぶ)が用いられ,尺八奏者の多くはそれでなければ演奏できないが,作曲家や編曲者のほとんどはその記譜法に通じておらず,また,西洋楽器との合奏等の必要により,五線譜を用いることが多い。そのためこのような曲の演奏にあたって,奏者自ら五線譜を文字譜に変換しなくてはならない場合も多々生じる。しかも現代音楽の要求は必ずしも尺八の特性に則したものではないため,出来るだけ容易に作曲家の要求を満たせる楽器を選択し,その上で文字譜に変換するという,厄介な作業が必要となる。我々はこのような作業を支援するため,五線譜に準ずる記述から尺八文字譜を作成するシステムの開発を進めている。実際の編曲例などの調査結果を反映させることで,通常の歌曲(唱歌など)程度のものに対しては良い結果が得られるようになったので,報告する。
著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.82, pp.15-20, 2001-08-04
被引用文献数
3

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究を行ってきた.今までに様々な機能拡張や仕様変更を行ってきたため、動作が不完全な機能、他の機能との整合性が取れなくなった機能、使用不能となった機能等の不都合も生じてきた.尺八譜のための標準データ形式 COMSO の譜字コードが新たに改定されたこと、都山流、琴古流、竹保流の3つの主な流派に対応可能となったことに伴い、今回、システム全体にわたって機能の再調整と強化を行った.特に譜字の入力・編集機能、印刷機能、標準MIDIファイルでのデータ互換機能の強化を行い、新しい「尺八くん」として一応の完成を見たので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. During the development, a lot of functions have been added and some specification changes have been mede to the system. As the result, some functions have been incomplete, unavailable, or inconsistent with the other functions. In order to solve these problems, we have modified and upgraded the system based on new COMSO, and we obtain the perspective that the system will be applicable for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.636, pp.7-14, 2001-02-16

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究の一環として尺八譜のための標準データ形式COMSOを提案し, これに基づいたシステムの開発を進めてきた.COMSOコードは, 基本音階における各音は流派によらず同じ奏法によるものと仮定し, 原則として音高, 指遣いのみに基づいて機械的に決定できる譜字コード体系である.しかし, 各流派の教授資料を詳細に比較した結果, 指遣いも含めた演奏方法に相違があり, すべての音階音を各流派間で一意に対応付けることができないことが判明した.この問題を解決するためにCOMSOコードの全面的な改定を行い, 併せて新しい音価表記法の提案および尺八譜処理システムのユーザインタフェースの見直しを行い, 尺八譜の作成・出版業務の支援を可能とするシステムとして再構築を開始したので報告する.
著者
坪井 邦明 松島 俊明 鈴木 孝 田中 多佳子 志村哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.47, pp.29-36, 1998-05-27
被引用文献数
1

音楽学分野での研究を目的としたコンピュータの応用例として,次の4例を紹介する.(1)尺八譜の処理システム(尺八譜の入力・編集などを行なうシステム),(2)楽器データベース(東京藝大音楽学部小泉文夫記念資料室所蔵楽器のデータベース),(3)インド採録曲データベース(インドの宗教歌謡研究のためのフィールドワーク資料のデータベース),(4)尺八研究史料データベース(尺八関係フィールドワーク資料のマルチメディア・データベース).Four experimenting with computers as tools for musicological studies are demonstrated; (1) Information Processing System for Shakuhachi Tablature, (2) Musical Instrument Database, (3) Sound Recording Database of Indian Music, (4) Constructing Multi-media Database of the Research Data Collected in the Field work for the Syakuhati Studies.