著者
古賀 正史 村井 潤 曽我 純子 斎藤 博
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.841-848, 2013

異常ヘモグロビンはHbA1cが異常値を示すために血糖コントロール状態の判断を誤る危険性がある.今回,人間ドック受診者でHbA1c(NGSP値)の異常低値(4.2 %未満)を契機に発見した異常ヘモグロビンの5例を報告する.HPLC法で測定したHbA1c(HPLC-HbA1c)の異常低値例に対して,グリコアルブミン(GA)および免疫法によるHbA1c(IA-HbA1c)を測定した.HPLC-HbA1cがGAおよびIA-HbA1cと乖離した非糖尿病の5例全員に<i>β</i>鎖グロビンのヘテロ変異(Hb Shizuoka 1例,Hb Moriguchi 2例,Hb G-Szuhu 2例)を認めた.HPLC-HbA1cが異常低値を呈し,GAおよびIA-HbA1cとの乖離を認めれば,異常ヘモグロビンが強く疑われる.HPLC-HbA1cが異常低値を示す例に対して我々が用いている診断のためのフローチャートを併せて提示する.