著者
河原 秀俊 森澤 豊 勝沼 俊雄 大矢 幸弘 斎藤 博久 赤澤 晃
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.559-564, 2002-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7

卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種の安全性について検討を行った.Sandwich ELISA法にて今回使用したワクチン中卵白蛋白(OVA)濃度測定を行い,2〜8ng/mlと微量であった.ハイリスク患児(卵白CAP-RASTクラス4以上または卵摂取により何らかの即時型反応の既往のある)36名(44.1±5.0カ月)に対しインフルエンザワクチン接種を行い,副反応として1患児で局所発赤を認めたが,即時型全身副反応をきたした患児は認められなかった.また卵白CAP-RAST陽性群(104患児)と陰性群(98患児)における即時型副反応の頻度は,局所反応が卵白CAP-RAST陽性群で0.5%,陰性群で2.2%であり,有意差は認められなかった.以上より,卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種は,多くの有症状患児に対しても可能と思われる.
著者
佐藤 寛子 柴田 ちひろ 斎藤 博之 佐藤 了悦 齊藤 志保子 高橋 守 藤田 博己 角坂 照貴 高田 伸弘 川端 寛樹 高野 愛 須藤 恒久
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.21-25, 2013-03-15 (Released:2013-07-06)
参考文献数
19

Since 1993, no cases infected with high pathogenic Kato type of Orientia tsutsugamushi (O.tsutsugamushi) had occurred. However, in August, 2008, we found a patient with tsutsugamushi disease (scrub typhus) who had the antibody against Kato serotype antigen the titer of which was raised at the level of the convalescent phase. The patient resided along Omono river, Daisen city, Akita Prefecture, Japan. We surveyed the vector mites and the field mice as hosts around the endemic locality, from spring to autumn, 2009. We found out Leptotronbidium akamushi (L. akamushi) and succeeded to isolate the Kato type of O. tsutsugamushi from the field mice at the endemic locality. L. akamushi were also found at the famous place for national fireworks in Daisen city, not so distant from the endemic locality. In order to avoid additional latent infections among the local residents or tourists, it is necessary to enlighten that there is risk of infection with this disease along Omono river in summer.
著者
水口(深瀬) 智晴 扇田 隆司 斎藤 博幸
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.224-227, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

アミロイドーシス変異アポA-Iやパーキンソン病αシヌクレインのアミロイド線維化反応に対して,核形成-自己触媒線維伸長モデルに基づく速度論的解析ならびに核形成と線維伸長速度定数の温度変動解析を行うことで,これらアミロイドタンパク質の凝集・線維化過程の熱力学的特性を明らかにした著者らの研究を紹介する.
著者
斎藤 博久
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.64-67, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
21

気道リモデリングには気道平滑筋の増生,杯細胞過形成,コラーゲンなどの細胞外基質成分の組織への沈着,気道上皮網状基底層の肥厚,血管新生などの要素が存在し,それらの多くは喘息治療標準薬であるステロイド薬により抑制されない.マスト細胞は気道平滑筋の増生や杯細胞過形成に非常に重要な役割を演じている.マスト細胞はIgE受容体を介して活性化されると脱顆粒のほか,非常に多くの遺伝子が転写されサイトカインなどの分子が産生される.このマスト細胞の活性化は試験管内におけるステロイド薬やタクロリムス前処理により部分的に抑制される.そして,この両者の薬剤を同時添加することにより,ほぼ完全に遮断される.気道リモデリングの進行に対する有効で安全な治療方法を確立するために今後のマスト細胞研究のさらなる進展が期待される.
著者
松原 正樹 諏訪 正樹 斎藤 博昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.281-295, 2012 (Released:2012-09-26)
参考文献数
50
被引用文献数
2

This paper describes an interactive learning-aid system for analytical comprehension of music by highlighting orchestral score in colors, and classifies and evaluates the learning process on the system. An orchestral music is composed to integrate many instrumental parts, and musicians have to be proficient in reading the score analytically in order to understand its multifaceted structure. However, many people often face difficulty in comprehending its musical structure: Some intermediate performers can read and perform their own part, but cannot understand the role of each part in the assembled whole. In order to solve this problem, our conventional paper proposes an interactive supportive system called ScoreIlluminator that enables musicians (and non-musicians) to easily represent how he or she recognizes an orchestral music, e.g. the differentiation of melody parts from the others, and the similarity across instrumental parts. ScoreIlluminator clusters the parts from an orchestral score according to their roles in the whole, and displays the clusters on the score by assigning a color to each cluster. The users can manipulate the clustering parameters with the user interface of the system. The system employs two major design concepts. One is ``colored notation'' and the other is ``directability''. The ``colored notation'' visualizes the roles and the relations between parts, which are estimated by the system. The estimation is based on the similarity metric of four musical features: rhythmic activity, sonic richness, melodic activity and consonance activity. Using these metrics, clustering phase is conducted using an unsupervised learning algorithm (k-means algorithm). Our system provides the ``directability'' with an interactive interface in which subjects can freely manipulate parameter settings and see the change in score-highliting in real-time. In this process, users learn the role of parts and the relationship between parts and explore multifaceted interpretations of the music. To verify the effectiveness of the system, we conducted a user-experience experiment with four intermediate musicians. The musicians showed various kinds of progress in interpreting the score. With the episodes from the experiment, we discuss how the system encouraged subject's analytic skill in orchestral-score reading and music listening.
著者
北 研二 川端 豪 斎藤 博昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.472-480, 1990-03-15
被引用文献数
32

高精度の連続音声認識システムを構築するためには 言語情報の利用が不可欠であり これまでにも 統計的言語モデル 正規文法 文脈自由文法等を用いて音声認識システムの認識率を向上させる方法が提案されている.本論文では これらとは異なる新しい方法HMM-LR法を提案する.HMM-LR法は 拡張LR構文解析法で用いられる構文解析動作表から入力音声データ中の音韻を予測し 予測された音韻の尤度をHMM音韻照合で調べることにより 音声認識と言語処理を同時進行させる.この方式では 音声認識と言語処理の間に音韻ラティス等の中間的なデータを介する必要がなく 高精度のかつ効率的な認識処理系を構成することができる.また HMM-LR法に基づく日本語の文節認識システムを作成し 評価を行った.評価には 日本語の一般的な文節構造を扱うことのできる一般的文法(語彙数約1 000語)と認識対象となるタスクに現れる現象のみを扱うタスク向き文法(語彙数約270語)の2種類の文法を用いた.一般的文法に対する第1位での正答率は72.0% 第5位までで95.3%の正答率を達成した.タスク向き文法に対しては それぞれ79.9% 98.6%の正答率を達成した.
著者
松原 優里 阿江 竜介 大矢 幸弘 穐山 浩 今井 孝成 松本 健治 福家 辰樹 青山 泰子 牧野 伸子 中村 好一 斎藤 博久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.767-773, 2018 (Released:2018-07-18)
参考文献数
24

【背景・目的】日本における食物アレルギー患者数は年々増加しているが,食物アレルギー患者数の頻度分布(有病率)は,未だ明らかではない.本研究では,それらを明らかにし,新たな調査方法を検討する.【方法】政府統計等利用可能な資料を用いて,食物アレルギー患者数を推計する.【結果】乳幼児期では「自己申告」で約80万人,「医師の診断」で約30万~50万人,学齢期では「自己申告」で約60万人,「医師の診断」で約35万人と推計された.成人では,消費者庁が即時型症状の受診者数を調査しているが,対象が限定されており,患者数の推計は困難であった.【結語】乳幼児はエコチル調査に症状や診断の有無・血液検査を追加することで,年次変化を把握でき,学齢期では文部科学省の調査が有効である.成人期では大規模調査は少なく,国民健康・栄養調査や国民生活基礎調査などに付随した調査が有効である.一方で個々の情報源の抱える問題点も明らかにした.
著者
斎藤 博道
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.101-113, 1970-11-25 (Released:2009-12-07)

Understanding Weber's methodology of "Kulturwissenschaft" from the point of view of the history ofIdeas, we can not grasp it without reference to Marxism and Scientific determinism at the end of 19th century.It is not so hard to find papers that treat his methodology in comparison with Marxism, however, it is hard to find papers that attempt to describe what attitude he had toward scientific determinists ; Comte, Mach, Solvey, Ostwald.So the paper attempts to clarify this problem through Weber's article" » Energetische » Kulturtheorien" in which he argued on scientific determinism.
著者
斎藤 博之 山内 五郎 高井 健一 菅原 宣義 林 幸成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.342-348, 1998-03-25
被引用文献数
1

無線アンテナ等の通信装置に雪氷が付着して通信回線に問題が生じることがある.これを未然に防ぐためにはっ水材料の実用化が期待されている.本論文では, 高性能の塗料型はっ水材料による着雪氷の防止性能, 着氷が電波反射に及ぼす影響の軽減について検討を行った.結果は以下のとおりである.(1)水の接触角が150度, 氷の付着力が0.1kgf・cm^-2の新しいはっ水材料を開発した.(2)このはっ水材料を塗装したアルミニウム板では+1.5℃でも雪が明確な摩擦角を示した.(3)試料に着氷が生じている間, 電波反射には影響がなかった.(4)試料上の着氷が融解する際に, アルミニウム板やエポキシ樹脂を塗装したアルミニウム板では電波の反射強度は減少するが, はっ水材料を塗装したアルミニウム板では反射強度は減少しない.
著者
斎藤 博 町井 涼子 高橋 則晃 雑賀 公美子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.453-463, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
63

大腸がん検診は便潜血検査による検診での死亡率,罹患率の減少効果が実証され,世界的にその成果が近い将来実現されると考えられている.また内視鏡検診の有効性のポテンシャルも示されつつある.今後,新規の検診法を求めて研究を進めていく上で,精度評価については健常者集団での測定,有効性は最終的に死亡率を指標として,評価される必要がある.新しい方法の研究とともに,成果を上げるために,海外で実績のあるorganized screeningを踏まえて,がん死亡率減少が実現可能な検診体制をわが国においても整備することが求められている.
著者
斎藤 博久
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.326-330, 2010-05-01 (Released:2011-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

花粉症,喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーなどのアレルギー疾患が増加している.その原因は,アレルゲンの増加とともに,免疫システムの完成する前の乳幼児期の衛生環境の改善が指摘されている.ここでは,アレルギー疾患発症に関する免疫学的な機序について解説するとともに,その予防方法開発の鍵となる研究の動きを展望する.
著者
松原 正樹 岡本 紘幸 佐野 智久 鈴木宏哉 延澤 志保 斎藤 博昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.1-6, 2008-12-12
被引用文献数
1

本稿では,オーケストラスコアの自動色付け手法 Score Illuminator について述べる.オーケストラなど大編成用に作曲された楽曲のスコアは,パート数の多さから,一覧性に欠けるという問題点を持つ.本稿では,スコアの可読性の向上を目的として,パート間のクラスタリングを行い,色付けすることでこれを明示する手法を提案する.本稿の手法では,リズム,響き,メロディ,和声を考慮した 4 つの特徴量を用いてパート間の距離を定義し,k-means アルゴリズムを利用してクラスタリングを行う.本稿では,実際の譜面の色付けを行う実験により,提案手法によってパート間の役割の区別を自動的に行うことが可能であることを示した.Orchestra scores have many parts together and score reading skill should be required to understand such orchestra scores. Musicians often put colors on the scores for score reading. In this paper we propose a method to illuminate orchestra scores with colors automatically according to the similarity between parts. Our method introduces four feature values, concerning the rhythm, sonic richness, melody and harmony respectively. The part clustering phase is built on k-means algorism using these four feature values. Our empirical result showed that our method succeeded in illuminating scores automatically for readability improvement.
著者
山本 哲夫 久々湊 靖 縫 郁美 高田 竜多 平尾 元康 上村 正見 斎藤 博子 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.1086-1091, 1995-07-20
被引用文献数
10 3

シラカバ花粉, カモガヤ花粉, ヨモギ花粉, ダニの4種類のCAPを検査した650例に果物の口腔咽頭の過敏症状の有無を調べた.<BR>(1) シラカバCAP陽性例 <スコア2以上> 174例の16%に, 他のCAP陽性例 (253例) の2%に果物に対する口腔咽頭の過敏症が見られた.<BR>(2) シラカバCAP陽性例の13%にリンゴで症状が, 6%にモモで症状が見られ, ともにシラカバのCAPスコアーの高い方が多く, 他の例よりも多く, 花粉の感作の診断の参考となると思われた.<BR>(3) キウイの症状は, シラカバCAP陽性例の3.5%に, シラカバ以外のCAP陽性例の1.2%に見られたが, 有意差はなく, 必ずしもシラカバ花粉の感作を示すとは限らないと考えた.