著者
有村 恵美 中熊 美和 四枝 晧二
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.393-399, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
24

外来血液透析患者34人(男性20人、女性14人)を対象に、透析導入前の栄養食事指導歴を含むアンケート調査を実施した。男性は女性に比べて透析歴が有意に低値を示し、透析導入年齢と腎所見指摘年齢および喫煙歴有の割合、糖尿病合併者の割合が有意に高値であった。腎所見指摘から透析導入までの期間が5年以上群は5年未満群に比べて調査時体重、調査時BMI(Body Mass Index)、最高体重、最高体重時BMI、腎所見指摘年齢が有意に低値であった。喫煙歴無群は喫煙歴有群に比べて腎所見指摘から透析導入までの期間が有意に高値を示した。透析導入前の栄養食事指導歴有は58.8%であり、約4割の患者は栄養食事指導未指導で透析導入に至っていた。慢性腎臓病の進展を予防するためには、肥満指導や禁煙指導、栄養食事指導(食塩制限・たんぱく質制限)等の生活指導をより充実させる必要性があると示唆された。今後もわれわれ管理栄養士・栄養士は栄養食事指導(食塩制限・たんぱく質制限)を含めた生活指導率の向上に努め、慢性腎臓病の進展予防のために貢献すべきであると考えられた。
著者
有村 恵美 大山 律子 町田 美由紀 日高 宏実 阿部 正治 中熊 美和 堀内 正久
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.89-95, 2019 (Released:2019-01-29)
参考文献数
21

慢性腎臓病(CKD)啓発イベント「世界腎臓デー in かごしま」にて、食塩摂取状況アンケートと食塩味覚感受性評価(ソルセイブ検査)を実施した。対象者は、自主的に参加された172人(男性59人:平均年齢 55.5±14.8歳、女性113人:平均年齢50.8±19.3歳)であった。単変量解析では、食塩感受性低値者 は、高値者に比べて男性割合・年齢・薬剤服用者割合・漬物摂取頻度が有意に高かった。多変量解析(ロジスティック回帰分析)では、食塩味覚感受性と関連する因子として性別、年齢が認められた。食塩味覚感受性と性別、年齢との関係は知られており、本検討によって、試験そのものの有用性が確認できたと示唆された。体験型のソルセイブ検査により、食塩味覚感受性が低いと分かった方は、その結果を踏まえて今後の食生活に注意を払うことが可能となることは有意義であると思われた。このようなCKD啓発イベントを通じて、参加者に質の高い情報や経験を与えることは、食塩味覚感受性保持と減塩への関心を高めることにつながる可能性が考えられた。