著者
古後 晴基 黒澤 和生 長谷川 敦子 有賀 透仁 秋吉 祐一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.41-44, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

〔目的〕研究1は健常者の筋硬度を定量化し性差を検証することである。研究2は筋硬結を有する筋・筋膜痛症候群(Myofascial Pain Syndrome:以下MPS)において,筋疼痛と筋硬度との関連性を明らかにすることである。〔対象〕研究1では20歳代健常者52名とした。研究2では,病院受診者で画像検査・神経学的検査所見に異常がなく,慢性の腰痛を訴え最長筋に筋硬結を有する者44名とした。〔方法〕研究1では,最長筋,僧帽筋,大菱形筋の筋硬度を筋硬度計にて測定した。筋硬度の性差をt検定にて検証した。研究2では,筋硬度は筋硬度計にて測定し,筋疼痛は数値的評価スケール1)(numerical rating scale:以下NRS)にて測定した。筋疼痛と筋硬度との関連性をPearsonの相関係数にて検証した。〔結果〕研究1では,僧帽筋において,女性は男性と比較して有意に高い値を示したが,最長筋と大菱形筋においては,有意差は見られなかった。研究2では,筋硬結の筋疼痛と筋硬度との相関関係は弱かった。〔結語〕僧帽筋において,女性は男性と比較して筋硬度が高いことが分かった。筋硬結を有するMPSにおいて,筋疼痛の程度は筋硬度の程度に影響されないことが分かった。