著者
北本 朝史 服部 俊幸 鈴木 正昭 赤塚 洋
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1991

本研究は《固相分子法による高選択レーザー分離法》(『固相レーザー分子法』)を確立するために、分子衝突が無視できる反応場で量子反応を選択的に制御し、レーザーによる高選択性、高収率をもたらす《新分離方法論》を構築する。固相マトリックスの創成条件を測定するためクライオスタットを製作した。クライオスタットを含むマトリックス創成装置を用いて、光学的に透明で凝縮相の成長速度が大きい条件に関して、基板温度一定の条件で測定した。またその結果を理論解析によって推定し、成長のメカニズムを検討した。液体窒素温度(-195.8℃)で固相マトリックスの創成実験を行ない、凝縮可能なキセノンガスを凝縮させた。またキセノンの透明な凝縮相を多層化する機能条件を確立した。キセノンガスの固相マトリックスは不活性分子の凝縮体であるため、光学的な吸収帯は認められず、光学特性は良好であった。またSF_6分子の単分子相をマトリックス中に層状に吸着させ、キセノンガスでコートする多層化法を検討する。レーザーにより反応性分子(SF_6)を励起、解離させる方法を実験的に検討する。次に反応分子の励起エネルギーがキセノン分子によって緩和されるので、解離分子の寿命を光学的に測定し、解離分子の平均寿命を延長するための方法論を研究する。数値解析によると、結晶表面の適応係数αおよび結晶の熱伝導度(結晶密度)がこれらの環境にとって重要な因子であることが分かった。『ラジカルライフタイム測定システム』を用いて透明結晶層の光透過度を測定し、波長依存性を測定した。その結果、結晶の透明度は表面温度と密接に関係していた。また結晶の成長速度は結晶の透明度を決定する要因ではなかった。