著者
長名 優子 服部 元信 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.598, pp.73-80, 1996-03-18
参考文献数
22
被引用文献数
1

本報告では, 1対多の連想を可能とするカオス双方向連想メモリ(Chaotic Bidirectional Associative Memory : CBAM)を提案している. 従来の多くの連想記憶モデルでは, 想起時に生じる干渉のために1対多の連想を行うことはできない. また, 1対名の連想が可能なモデルでも, 想起時に生じる干渉を取り除くために人為的な制御や特別なネットワークを必要とする. これに対して, 提案モデルは従来の双方向連想メモリ(Bidirectional Associative Memory : BAM)の一部にカオスニューロンを用いた非常にシンプルな構造で, 1対多の連想を実現している. 提案モデルでは, 学習パターンに文脈情報を付加して学習し, この文脈情報に相当する部分にカオスニューロンを用いている. カオスニューロンが想起時につくり出すカオスによって文脈情報が遷移することで, 1対多の連想を可能にしている. 計算機シミュレーションを行い, 提案モデルの動作を確認し, 有効性を示した.