著者
都木 徹 服部 有希子 小宮 恵 今井 篤 岸 憲史 伊藤 崇之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.478-487, 2005-02-01
被引用文献数
2

近年, コンピュータを用いて語学教育を支援するCALL (Computer Assisted Language Learning)システムの開発が盛んに行われている.本論文では, CALLシステムの一つとして, NHK教育テレビの語学番組「中国語会話」で利用することを目的に開発された声調学習ツール"声調弐号"及び"声調参号"を取り上げ, そのシステムの利用効果について述べる.これらのCALLシステムは, 模範音声と学習者音声の両者のピッチ軌跡を画面に比較表示するとともに, 学習者音声の韻律を模範音声の韻律に矯正した変換音声を聴取することができ, 視覚的にも聴覚的にも韻律に関する発音習得を支援することを目的としている.視聴者からは, 従来の模範音声と学習者音声を聞き比べるだけの場合より分かりやすいと好評であった.本システムで用いている視覚的・聴覚的学習支援の効果を明らかにするため, 番組とは独立に日本人に対して行った韻律に関する発音習得実験では, 特に学習者自身の音声とその韻律を矯正した音声を聞き比べる効果が高いことが示された.