著者
武部 真理子 服部 瑞樹
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

全身性炎症反応症候群(SIRS)に対するアスタキサンチンの効果を調べるために、5-FU誘導腸炎モデルマウスおよびヒト結腸癌細胞由来の細胞株であるCaco-2 、HCT116を用いた実験を行った。5-FU誘発性腸炎モデルにおいて、アスタキサンチンが炎症性サイトカインの発現を抑制する作用およびアポトーシスを抑制する作用があることが明らかになった。しかし、細胞実験においてはアスタキサンチンの炎症性サイトカイン発現抑制作用は顕著ではなく、抗酸化作用が主たる効果として確認された。腸炎モデルにおいて、アスタキサンチンの抗酸化作用が直接アポトーシスを抑制している可能性が示唆された。
著者
伊東 久勝 服部 瑞樹 堀川 英世 竹村 佳記 山崎 光章
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.231-237, 2018-10-25 (Released:2018-11-07)
参考文献数
40
被引用文献数
3

遷延性術後痛(chronic postsurgical pain:CPSP)は,多くの患者のQOLを損失する深刻な手術合併症である.CPSPは侵襲の大きさなどの手術因子,精神・心理的因子や遺伝素因などの患者関連因子,環境因子を含んだ複合的なメカニズムによって発症し,その病態の理解は単純ではない.これまでにCPSP対策として薬物療法,神経ブロック,低侵襲手術の普及などさまざまな治療介入が行われており一定の効果は得られているが,より効果的な治療介入の開発のためにさらなる研究が望まれる.精神・心理的因子はCPSPの明らかな危険因子であり,これらの影響を評価し適切な治療介入を行うためには,痛みの有無や強度のみの単純な評価だけではなく,痛みの多面的評価が必要である.最近では,遺伝子解析やMRIなどの先進的な手法を用いてCPSPのリスクや病態を客観的に評価する試みがなされている.本稿ではCPSP対策の現状と今後の課題を中心に概説する.