- 著者
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西浦 郁絵
能川 ケイ
服部 素子
井田 通子
- 出版者
- 神戸市看護大学短期大学部
- 雑誌
- 紀要 (ISSN:13428209)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.23-32, 2004-03
約一年間に及ぶ在宅療養の結果、家族の看取りで在宅死に至った事例から、在宅死を迎えるまでに療養者とその家族に提供された看護を振り返り、在宅ターミナルケアの諸相と看護をまとめた。安定期、終末期に適切な訪問看護の介入がなされ、死の準備教育と家族の負担軽減のためにチームアプローチが適切に行われていた。その結果、在宅療養開始時には「状態が悪化すれば病院へ」と考えていた家族が「最期を家で過ごさせたい」という気持ちへと変化し在宅での看取りを家族で行うことができた。また、死別期においてもグリーフケアが行われており、在宅ターミナルケアにおいては療養者と家族を1つの単位としてサービスを提供するため、療養者が亡くなったあとも家族を対象としたケアは継続して行われ死後のグリーフケアも重要な看護である。1事例での振り返りであるが、川越氏による在宅ターミナルケアの諸相における看護が事例においても行われており、1つの手だてとして用いることが有効であると考える。今後はさらに在宅ターミサルケアの諸相に応じた看護の意図的な実践を繰り返し、より質の高い在宅ターミナルケアの援助方法へとつなげていく必要がある。