- 著者
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瀬戸口 ひとみ
糸嶺 一郎
朝倉 千比呂
鈴木 英子
- 出版者
- 日本保健福祉学会
- 雑誌
- 日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.2, pp.35-45, 2017-03-21 (Released:2017-07-25)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
1
目的:統合失調症者の病いとの「折り合い」の概念について定義を明確にする。方法:Rodgers(2000)の概念分析アプローチ法を用いた。データ収集は、医中誌他、6つのデータベースを用いた。検索語は「折り合い」、「折り合い」の類似概念として「受容・統合失調症」を用いた。英論文では「Identity adaptation schizophrenia」で検索を行った。最終的に抄録のある原著のみとし、日本語論文32編、英論文2編を抽出した。各文献について先行要件、属性、帰結の内容を抽出し、各項目をカテゴリー化した。結果:属性として、【病気との共存】【自己に対する肯定的認識】【今の自分にあった家族や人との付き合い方】【新たな価値観の獲得 】【セルフモニタリングの強化】【自分らしく生きる】の6つのカテゴリーが抽出された.先行要件は個人的要因と環境的要因の二つに大別され,個人的要因として【病いに関連する苦悩】【病いに関連した否定的体験】【日常生活困難感とその対処】【統合失調症と知って生じる新たな疑問】、環境要因として【治療】【家族のサポート】【他者との関係】【制度・社会資源】の4つのカテゴリーが見いだされた。帰結は【生き方の定まり】【対人交流への自信の獲得】【社会の中で新たな役割を見出す】、【自己実現・自己決定】【医療への期待】【新たな居場所を見出す】の6つのカテゴリーが抽出された。結論:統合失調症者の病いとの「折り合い」の概念は「自分らしく生きる」であった。しかし、統合失調症者は、偏見をはじめとする病いの体験に苦しんでいた.統合失調症者は、病いによって自信を失いながらもその中で体験したことを糧に,病いを得る前とは違った自己になることを経験しつつ、【自分らしく生きる】ことを選び取っていた。当事者が病いを受け入れ、共存できるような援助と自己を肯定的に捉えられるようなケアの構築の必要性が明確になった。