著者
朝倉 奈都 沖津 宏 清家 純一 田渕 寛 津田 洋 佐尾山 信夫 吉田 冲
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.27-31, 2000-03-15
被引用文献数
2

症例は68歳の男性.糖尿病性腎症により1998年4月に近医入院し血液透析を開始した.入院解きより左胸水貯留を認め, 胸水検査を行うも原因同定には至らなかった.同年10月頃より発熱及び胸水の増加を認め, 膿胸の疑いにて胸腔ドレーンを挿入, 膿性の排液よりCryptococcus neoformansが得られた.血中Cryptococcus neoformans抗原, クリプトコッカス抗体は共に陰性で, 髄液検査, 頭部CTを含め, 他臓器には異常を認めず, クリプトコッカス膿胸と診断された.抗真菌剤の全身投与及び胸腔内洗浄による治療にも膿胸の改善はなく, 手術目的にて当科紹介となり, 1998年12月18日左肺剥皮術, 有茎筋弁充填術を施行した.術後特に合併症なく経過し, 術後約9カ月の現在, 再発の徴候は認めていない.
著者
朝倉 奈都 沖津 宏 武知 浩和 清家 純一 田渕 寛 佐尾山 信夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.284-290, 2000
参考文献数
15

症例1は48歳, 女性。1998年3月末より嗄声, 喘鳴が出現し4月に当科受診。頚部CTにて右葉を中心に甲状腺全体の腫大を認め, 吸引針生検では悪性リンパ腫(B-cell type)との診断が得られた。気管支鏡検査では右反回神経麻痺, 声門及び上部気管の右側からの圧排狭窄を認めた。入院後5月11日よりCHOP5クールと放射線照射を計40Gy施行し, CRが得られた。症例2は58歳女性。1998年10月頃より嗄声, 労作時呼吸困難に気づき11月来院。造影CTでは甲状腺全体の腫大による気管狭窄を認めた。吸引針生検ではclass IIであったが, 気管支鏡所見では左反回神経麻痺, 著明な気管狭窄, 粘膜下浸潤を疑わせる発赤を認め, 超音波所見でも強く悪性リンパ腫を疑い12月7日よりCHOP5クールと放射線照射計40Gyを行った。治療開始とともに約1週間で嗄声, 呼吸困難等の症状は劇的に改善し, さらにCRが得られた。2症例ともに1999年12月の現在, 再発の徴候はない。