著者
松永 和秀 朝村 真一 森 一功 和田 充弘 磯貝 典孝
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.758-763, 2011 (Released:2012-10-25)
参考文献数
10

【目的】舌可動部亜全摘後,大胸筋皮弁にて即時再建を施行した舌癌患者9例の術後2カ月目における嚥下機能を評価した.【方法】評価は,ビデオ嚥下造影検査にて行った.【結果】嚥下時,皮弁と口蓋の接触が良好であった症例は6例で,不良は3例であった.喉頭蓋反転による気道閉鎖は7例が良好で,食道入口部の開大は9例とも良好であった.皮弁と口蓋の接触が良好であった6例は,咽頭残留が少なく,気管内侵入や喉頭侵入も認めなかった.皮弁と口蓋の接触が不良であった3例は,嚥下終了後咽頭残留を著明に認め,それに伴って気管内侵入もしくは喉頭侵入を認めた.【考察】気管内侵入や喉頭侵入の原因に,皮弁のボリューム不足による嚥下圧の低下が考えられた.早期嚥下機能の観点からも,舌可動部亜全摘では皮弁と口蓋が接触するように再建することが必要と考えられる.