著者
朝野 尚樹 小曽納 雅則 野口 健 伴 義之
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.63-69, 2008-06-01
参考文献数
14

現在、作物におけるDNA分析による品種識別技術については、稲、いちご、いんげんまめ、イグサ、茶、おうとう等において、育成者権侵害紛争の早期解決や食品表示の適正化等の現場で利用されるまでに至っている。品種識別に用いられる技術としては、RAPD、AFLP、CAPS、SSRが上げられるが、実際の現場では、上記方法のうちRAPD-STS、CAPS、SSR等が実用化されている。本研究において、品種識別に利用したSSRは、2〜6塩基を単位とした反復配列であり、ゲノム中に多数散在している。一般的に共優性であり、反復単位の繰り返し数の変異性が高く、アリル数が多いため、一つのSSRマーカーで複数の品種の識別が可能であり複数のSSRマーカーを用いることにより品種識別能力が非常に高くなる。また、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所において品種判別、親子鑑定などDNA鑑定を高精度で行うことを目的として、ナシ品種を対象としたSSRマーカーのデータベース(果樹研究所ホームページ「DNAマーカーによる果樹・果実の品種識別」を参照)が報告され、おうとう等、ナシ以外の果樹への適用も可能である。本研究では、日本国内で栽培されているバレイショのDNA分析による品種識別能力の向上を目的とし、9種類のSSRマーカーを用い、のべ193品種のDNA分析を行い、品種特性等を補完したバレイショのDNA品種識別用データベースを作成したので報告する。