著者
木下 典穂 木下 晴都
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.60-66, 1981-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

糖尿病の111例を対象に針灸治療の臨床的研究を行なったが, そのうち血糖値を検査した54例について治療成績を検討した。治療は一般的に常用する共通治療と, 一定の症状に対応する類別治療に分けて施行した。治療成績は血糖値を指標にして, 著効, 良効, 安定, 無効の4段階で評価した。その結果, 著効・良効を合わせた26例 (48%) は, 針灸治療後に血糖値が改善された。治療期間からみると2年以上にわたる長期継続群の成績がよく, 病歴では早期糖尿病群に著効例が比較的高度にみられ, 自覚症状では口渇のみを訴える症例の成績がよかった。血糖値の高度な群は下降率が大きく, 血糖降下剤・インスリンの必要な症例でも, 針灸後には血糖の改善する例があった。