著者
木内 聖 平野 智也 角田 直也 船渡 和男
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.184-191, 2023-02-22 (Released:2023-03-09)
参考文献数
9

ランニングにおける足部内側縦アーチの変化および足底荷重を定量化することを目的とした.足底圧分析機 (Novel GmbH®,100Hz),モーションキャプチャシステム (Oxford,100Hz),フォースプレート (Kistler,1KHz) を同期し,足底を解剖学的計測点に基づいて5つに分割した.参加者8名が2.78m/sの速度でランニングを行った.内側縦アーチ角度は第一中足骨遠位端,舟状骨,踵骨側面のなす角度,中足趾節関節角度は,母趾末節骨近位端,第一中足骨遠位端および近位端のなす角度として算出した.足底荷重は,接地とともに後足部および前足部外側の荷重がみられ,蹴り出し時には前足部に荷重がシフトし,内側縦アーチ角度が最大の変化量を示した.その後,中足趾節関節背屈に伴い前方向の地面反力が増加する傾向がみられた.内側縦アーチは,足部接地中,足底荷重を吸収するための柔軟な構造から,蹴り出し時に中足趾節関節を背屈させることで剛性を高め,前足部で蹴り出すことで前方への推進力を生み出していると推察される.