著者
木原 稔 神部 飛雄 北村 真人 渡辺 亮太
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.247-253, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
23

廃棄される未利用資源であるオホーツクホンヤドカリPagurus ochotensisを食品として利用するために, 丸ごと外骨格ごと一般成分, 重金属を, 部位別に外骨格ごと遊離アミノ酸ならびに脂肪酸を分析した。その結果, 脂質が多く, 外骨格を含むために灰分, 炭水化物が多く, 水分が低かった。総水銀, 鉛, カドミウムは検出されず, 総ヒ素は0.77 ppmであった。遊離アミノ酸総量及びタウリンはズワイガニの値よりも多く, アンセリンやカルノシンが含まれていた。腹部の脂肪酸は, エイコサペンタエン酸 (EPA) 及びドコサヘキサエン酸 (DHA) 含量が高く (100 gあたりEPA 1,600 mg, DHA 800 mg) , 季節変動するが, EPAは主な青魚類よりも多かった。オホーツクホンヤドカリの重金属類含有量は食品として問題になるレベルではないこと, 食経験の報告もあることから, 食品として利用可能と判断できた。また, 遊離アミノ酸が多く, タウリン, アンセリン, カルノシン, EPA及びDHA含量が多いことが食品としての特徴である。
著者
木原 稔 田本 淳一 星 貴敬
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-43, 2009 (Released:2011-07-26)

マナマコへの給餌方法の検討を目的に、ワカメ粉末、ワカメ粉末と砂粒、および砂粒を水槽底面に散布し、マナマコに70日間給餌した。その結果、砂粒+ワカメ粉末区では糞塊が高い頻度で確認でき、生残率も高く(73%)、体重も実験開始時に比べ2.2倍に増加した。砂粒区では糞塊は確認できず、ワカメ粉末区では糞塊は確認できたものの、飼育開始後30日目での生残率は2区ともに20%以下であった。以上より、ナマコには微粒子の栄養物質に併せて砂粒を投与することで、給餌効果を高められると考えられた。