著者
木暮 美菜 諸上 茂光
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.22-29, 2021-02-26 (Released:2021-02-26)
参考文献数
20

ダイエットなどの消費者自身の変化を期待する「行動変容促進型商品」は消費者の努力の程度によって商品から得られる結果が異なる。そのためダイエット器具の口コミを閲覧する消費者は,口コミ閲覧者自身が可能な努力の程度によって口コミに対して知覚する共感感情が異なり,口コミから類推する製品の評価や購買意思決定が異なると予測される。そこで本稿は口コミ閲覧者の自己効力感とダイエットに対する価値の知覚によって,ダイエットの口コミに対する認知的共感,情動的共感が異なること,知覚する共感の違いによって製品評価やダイエット器具の効果の予測が異なることを場面想定法を用いたアンケート調査から検証した。分析結果より消費者の自己効力感やダイエットの価値の知覚によって口コミに対する認知的共感,情動的共感が異なること,口コミ閲覧者の自己効力感は成功口コミへの共感に関係し失敗口コミへの共感には関係しないことが確認された。また口コミに対する認知的共感はダイエット器具のダイエット効果の予測を高める一方で,口コミに対する情動的共感はダイエット器具の製品評価に影響することが確認された。