- 著者
-
松井 彩子
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.30-37, 2021-02-26 (Released:2021-02-26)
- 参考文献数
- 15
近年,企業と消費者のコミュニケーションツールとしてはもちろん,消費者間の情報伝達手段としても,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下,SNS)は必要不可欠である。SNS上の情報に大多数のユーザーが関心を寄せた状態は,バズや炎上と呼ばれる。本論は,このバズや炎上のメカニズムの背景にある大多数の他者に着目し,社会的影響研究の理論に立ち返って,大多数の他者の集積がその他のユーザーに及ぼす影響を実証することを目的とする。実証には,シナリオ設定の実験手法を用いた。大多数の他者の集積規模の大小,情報発信者の持つフォロワー数の大小の,2×2の4つの実験群を設計した。各実験群につき464人,総計1,852人の被験者からの回答を得た結果,情報発信者の属性に関わらず,大多数の他者の集積数が大きいことが,それを目にした情報受信者のユーザー行動に正の影響を及ぼすことを実証した。具体的に,行動を起こす障壁が低い,「いいね」や「シェア」を付与する意向,並びに,行動を起こす障壁が相対的に高い,ブランドの情報収集意向,ブランド購買(利用)意向が高まることが明らかとなった。