- 著者
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岩本 理恵
北條 敬之
渋谷 真希子
木村 幸文
亀倉 更人
藤澤 俊明
- 出版者
- 北海道歯学会
- 雑誌
- 北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.2, pp.114-119, 2014-03
最近5年間(2007~2011年)に局所麻酔薬アレルギーを懸念して当科を受診した患者を対象に,受診のきっかけとなったエピソード・考えられる原因,皮膚テスト施行の有無,今後の歯科用キシロカインカートリッジR使用の可否判断等について過去の当科における同様の検討結果(1989~1993年)との比較を交え解析し,以下の結論を得た. 1 .当該患者数の全受診者数に対する割合は,今回は0.32%(13/4083)であり,前回の3.5%(54/1545)と比較して大幅に減少した.依頼医における局所麻酔薬アレルギーと他の偶発症との鑑別能力の向上がその一因と推察した. 2 .皮膚テストを行った症例数は,今回2症例であり,前回の39症例と比較して大幅に減少した.これは2004年の厚生労働省からの抗菌薬皮内テストに関する指示が出され,当院でも局所麻酔薬も含め皮内テストを極力行わない方針になったためと思われる. 3 .医療面接や検査の結果ならびにアレルギー防止の観点からみて歯科用キシロカインカートリッジRが使用可能と判断した症例の割合は,今回は82%(9/11)であり,前回の61%(27/44)と比較して増加した.2005年より歯科用キシロカインカートリッジRへのパラベン添加が取りやめになったことが大きな要因と思われ,この結果は依頼元の歯科医師および患者にとって治療遂行上,有益と思われた. 4 .エピソードの原因については,判断困難とした1症例を除き,アナフィラキシーとの鑑別は比較的容易であった.しかし,リドカインのように抗原性の著しく低い薬物でも,アナフィラキシーを発症する危険性が皆無ではなく,全ての薬物においてその使用にあたっては,十分な医療面接に加えて,ショック等に対する救急処置を行うことが出来る体制整備を怠らないことが重要である.