著者
木村 裕二
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第29巻, no.第1号, pp.105-122, 2016-10

法務省は,2015 年3 月31 日,民法の改正案を国会へ提出した。その中に,次の2 つの規定が含まれている。(1)金銭の授受がなされる前は,借主は諾成的消費貸借契約を解除することできるが,貸主は損害賠償を請求できる。(2)借主は期限前に弁済することができるが,貸主は損害賠償を請求できる。これらの規定は「元本を期限まで利用する債務」「元本返済により失われた将来利息を補償する義務」を借主に負わせるものではないことを,論証する。また,元本返済により失われた将来利息を補償する義務を定めた当事者間の合意の効力を,利息制限法がどのように制限するかを検討する。
著者
木村 裕二
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 = The journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.83-100, 2017

貸金業者による保証を付した銀行カードローンの貸付けのあり方が問題とされ,銀行業界は自主規制に乗り出した。単に過剰な広告がなされていることが問題なのではない。与信残高の急激な伸長の内部には,実体的な消費需要を伴わない「返済のための借入れ」が多数含まれている。すなわち返済能力を超える過剰な貸付が,多重債務問題を再燃させかねない状況をもたらしている。早急な対応が必要である。
著者
木村 裕二
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 = The journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.105-122, 2016

法務省は,2015 年3 月31 日,民法の改正案を国会へ提出した。その中に,次の2 つの規定が含まれている。(1)金銭の授受がなされる前は,借主は諾成的消費貸借契約を解除することできるが,貸主は損害賠償を請求できる。(2)借主は期限前に弁済することができるが,貸主は損害賠償を請求できる。これらの規定は「元本を期限まで利用する債務」「元本返済により失われた将来利息を補償する義務」を借主に負わせるものではないことを,論証する。また,元本返済により失われた将来利息を補償する義務を定めた当事者間の合意の効力を,利息制限法がどのように制限するかを検討する。 The Ministry of Justice submitted a bill to revise the Civil Code to the Diet on March 31, 2015. Two articles are included in this bill: (1) In a consensual contract for a consumption loan, the borrower may cancel the contract before any giving and receiving of money, provided that the lender may claim compensation for damages. (2) In a consumption loan, the borrower may return money prior to expiration of a term, provided the lender may claim compensation for damages. This paper aims to prove that the above-mentioned articles don't provide for either the borrower being able to take advantage of "the debt to use capital until a time limit" or claiming "the duty to compensate for future interest lost by capital return". In addition, this paper examines how the Interest Rate Restriction Act limit affects the agreement between parties which provide for the duty to compensate for future interest lost by capital return.