著者
木村 重光
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.283-288, 2007 (Released:2007-12-06)
参考文献数
18
被引用文献数
8 9

黒ダイズ(品種:紫ずきん)のカメムシ類被害粒から子嚢菌酵母を単離した.それらは,形態的観察,生化学的性質,5.8Sを含むITS領域の塩基配列の相同性解析等の結果から,Eremothecium coryli (Peglion) Kurtzmanと同定された.本菌を健全なダイズ(品種:舞姫およびエンレイ)に有傷接種した結果,病徴が再現され,罹病部から接種菌が再分離された.E. coryliは,海外ではダイズに“yeast-spot disease”を起こす病原菌として報告があるが,本邦では未記録である.そこで,本菌によるダイズの病名をダイズ子実汚斑病(英名:yeast-spot disease)と提唱したい.
著者
木村 重光 徳丸 晋 菊地 淳志
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.13-18, 2008-02-25
被引用文献数
17

E. coryliはダイズ子実汚斑病(仮称,英名:yeast-spot disease)の原因菌として知られている.ダイズ子実汚斑病(仮称)を媒介するカメムシ類の種を特定するために,2006年の7月から9月にかけて京都府および広島県内のダイズ圃場において,ホソヘリカメムシ,アオクサカメムシ,イチモンジカメムシおよびブチヒゲカメムシを採集した.採集されたホソヘリカメムシ,アオクサカメムシ,イチモンジカメムシおよびブチヒゲカメムシ成虫のE. coryliの保菌率はそれぞれ,77.7%, 35.7%, 20.4%および43.8%であった.また,採集されたホソヘリカメムシ幼虫のE. coryliの保菌率は11.5%であったが,アオクサカメムシおよびブチヒゲカメムシ幼虫からは分離されなかった.採集されたホソヘリカメムシ,アオクサカメムシ,イチモンジカメムシおよびブチヒゲカメムシ成虫はそれぞれ, 81.6%, 50.0%, 16.7%および40.0%が,健全ダイズ種子にE. coryliを媒介した.これら4種のカメムシが,ダイズ子実汚斑病(仮称)病原菌E. coryliを保菌,媒介することができることが示唆された.