著者
手嶋 政廣 鈴木 誠司 木舟 正 永野 元彦 林田 直明
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

宇宙線のエネルギースペクトルが10^<20>eVまで延びていることは実験的に知られている。これらの宇宙線の起源は銀河系外であると考えられているが、既存の天体での粒子加速により説明するのは容易ではない。これらの宇宙線の起源の特定には、精度良い宇宙線のエネルギー測定とその粒子同定が重要である。現在稼動している検出器では粒子同定ははなはだ困難であり、将来の検出器としてはこの識別能力を持つ必要がある。宇宙線が大気に入ってくると、大気原子核と衝突し多数の二次粒子を生成する、この現象を空気シャワー現象という。この空気シャワーの最大発達の位置X_<max>が親の粒子同定に有効であることを米国Fly's Eyeの実験は示した。さらに高分解能の装置による測定によりよい実り多い結果が期待できる。日本の宇宙線研究所を中心とする我々のグループは、さらに高分解能の撮像システムからなる。Telescope Arrayを計画している。本試験研究では、Telescope Array計画に必要とされる高分解能の空気シャワーシンチレーション光撮像装置の開発研究を行った。この撮像装置のデバイスとして64チャンネルマルチアノード浜松ホトニクスと共同で開発を行ない、当初の目標としていた仕様を満たすことができた。
著者
木舟 正 吉越 貴紀 吉越 貴紀
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

約半世紀にもわたる努力の結果、最近になって漸く確立した超高エネルギーガンマ線による宇宙観測の全体像を把握すべく考察を試みるために、これまでに検出されたガンマ線天体についてのレビユー論文を作成し、宇宙の超高エネルギー現象についての今後の発展方向を展望した。銀河系内超高エネルギーガンマ線源の位置、広がりの大きさなどについて、ガンマ線強度の観測データが銀河河円盤内宇宙線による拡散ガンマ線などによって受ける影響の大きさ、データの取り扱い方の違いが解析結果に与える不定性があることを示した。