- 著者
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永野 元彦
小早川 恵三
政池 明
- 出版者
- 福井工業大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2000
超高エネルギー宇宙線を観測する方法として、超高エネルギー宇宙線が大気中で作る空気シャワー中の電子が窒素分子を励起して発する蛍光を、遠く離れた場所に設置した望遠鏡で観測する方法が実施されている。また観測有効面積をより大きくするため、国際宇宙ステーションに望遠鏡を設置し観測するEUSO計画が日、欧、米の共同研究として推進されている。これらの観測で宇宙線のエネルギーを決定するには、大気中での電子による窒素分子の発光効率が基本であるが、十分なデータは存在しなかった。本研究は大気を模したチェンバー内で、電子による発光効率、発光時間の気圧依存性を測定することを目的とする。実験は、放射性同位元素^<90>Sr→^<90>Y→^<90>Zrのβ崩壊を利用して行った。N^+_2及びN_2の主な発光波長315,337,357,381,391,400nmを中心としたバンド幅10nmの干渉フィルターをとりつけた6波長領域で測定をおこなった。本測定中に乾燥空気中の値が従来の結果とかなり差があることが判明したため、乾燥空気中での再測定をおこない、結果をAstroparticle Physicsに投稿した。主な結果は以下のとおりである。(1)バンド幅中に2本のラインが入っている場合には、それぞれの観測光子数と発光時間の気圧依存性から、二成分解析をおこない、計7本のラインにつき発光効率及びその密度、温度依存関数のパラメータを決定した。(2)宇宙線観測に必要な300-410nmでの発光光子数は1気圧、20℃の大気中で、1電子、1mあたり3.75±0.15である。この値はこれまで実験で使用されていた値より17%大きい。(3)この結果を使うと、Fly's EyeやHiRes実験で決めた宇宙線のエネルギーは平均10%大きく見積もっている。