著者
長谷川 守 服部 卓 猿木 信裕 石埼 恵二 木谷 泰治 町山 幸輝 藤田 達士
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.85-91, 1996-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

McGill Pain Questionnaire (MPQ) は多くの国で標準化された Pain Rating Scale (PRS) であるが, 言語や文化の違いから, わが国では, 標準化されていない. 今回, われわれは慢性疼痛患者105人を対象に Meizack らの方法論に準拠した日本語版MPQ (J-MPQ) (疼痛表現は佐藤らによる) と他のPRSを同時に施行しJ-MPQの信頼性と妥当性を検討した. さらにSTAI (State-Trait Anxiety Inventory: 状態-特性不安尺度) によって状態不安とJ-MPQ得点との関連性を検討した. 検討の結果, J-MPQの信頼性と妥当性は証明されPRSとしての有用性は確認された. 各 subscale 間は比較的高い相関があり, 痛みの構造を評価する尺度としては独立性に問題があることがわかった. そのため, 他のPRSと最も相関が高く, 各 subscale の総得点であるPRI-T (Total score of the Pain Rating Index) をPRSの代表として使用するのが望ましいと考えられた. また, STAIとJ-MPQには低い相関しかみられず不安とJ-MPQ得点との関連性は低いと考えられた.