著者
末柄 信夫 山口 英世 安井 克人
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.264-269, 1999-11-30
参考文献数
17
被引用文献数
1

手指消毒のために開発された手指熱風消毒器 (商品名クリアポパイ) の消毒・殺菌効果について検討した.試験菌10<SUP>4</SUP>~10<SUP>6</SUP> cfu (コロニー形成単位) を含む懸濁液を塗布した平板培地を本消毒器が発生する熱風および紫外線 (UV) に曝露した場合, <I>Pseudomonas aeruginosa</I>と<I>Escherichia coli</I> (O-157) は5secで, MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) と<I>Salmonella enteritidis</I>は10 secで, <I>Staphylococcus epidermidis</I>は20 secで, また<I>Enterococcus faecalis</I>は30 secで, いずれも99.9%以上が死滅した.<I>Candida albicans</I>と<I>Malassezia furfur</I>は30 secで99.6%が死滅した.一方, 手掌に塗布したE.coli (1.3×10<SUP>5</SUP> cfu/cm<SUP>2</SUP>) は 10 secの曝露で99.9%が死滅した.この消毒・殺菌効果のほとんどはUV曝露によるものであった.以上の結果に加えて本消毒器は, 消毒液や清拭紙等を必要としないこと, 操作が簡便であること, 手荒れもしないこと, などのすぐれた特長を備えているところから, 医療や食品等の取り扱いにおける手指消毒にきわめて高い有用性をもつものと考えられる.