著者
松崎 愛 本多 千恵子 布施 明美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.390-403, 2005-07
被引用文献数
1

比較的高強度の運動を定期的に行う若年女性の月経随伴症状の出現傾向を年代間で比較検討することを目的に, 部活動で陸上競技を行う中学生(J群), 高校生(H群), 大学生(U群)について, 身体的, 競技的背景, 月経現象, および月経随伴症状について調査し, 以下のことがわかった。月経周期が正常である選手は, J群50.9%, H群59.1%, U群71.0%であった。月経随伴症状は, 「下腹部痛」の頻度が最も高く, J群45.0%, H群51.5%, U群61.3%で, 加齢に伴い明らかに高頻度を示した。J群とH群は月経2日目に症状が集中した。一方U群は, 月経1日目に高頻度を示す症状が多く, さらに「イライラ感」や「乳房痛」が月経前に高頻度でみられた。U群は他2群と比較し正常周期が高率であったことから, U群の年代で女性ホルモンの分泌が安定する選手が多くなると推測される。U群の諸症状が月経1日目に高頻度を示すのは, 症状が月経前から月経前期まで持続する選手の割合が高かったことが影響していると考えられる。以上のことより, 若年競技者は大学生を境に, 月経随伴症状の出現に変化が現われることが示唆された。