著者
本多 陽子 落合 幸子
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.45-54, 2006-03
被引用文献数
3

医療系大学生の大学進学時の進路決定プロセスの要因を探るため,18項目を作成し,因子分析を行ったところ,決定の主体性,職業イメージの明瞭性,本命進路の諦め,決定のスムーズさという4因子が抽出された。この4因子と進路決定プロセス5類型(早期決定型,途中変更型,直前決定型,回避型,出会い型)との関連を検討したところ,各類型の特徴が明らかになり,進路決定プロセス尺度の並存的妥当性が確認された。進路決定プロセスの4要因と医療系学生の職業的アイデンティティとの関連を検討したところ,明確な職業イメージを持ち主体的な決定を行うことが,全ての職業的アイデンティティを高めていることがわかった。また,本命進路を諦めた経験は,医療職選択への自信を低めていた。途中変更型は本命進路を諦めた経験を持つという傾向があり,医療職選択への自信の形成に問題がある可能性が示唆された。