著者
山下 エリ子 重久 麻衣 本岡 聖子 安達 町子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.76, 2003

<b>[目的]</b> だしは料理の味の基本となるものであり、わが国では昔から昆布、かつお節、煮干しなどを使ってだしをとり、そのだしで料理のおいしさを引き出してきた。だしをとるということは少々手間のかかることであり最近では、便利な旨味調味料、風味調味料の流通や、女性の社会進出も伴って、家庭でだしをとることが少なくなっているように思われる。そこで、長崎県の主婦を対象に、現在、料理によってどのようなだしのとり方をしているのかを調べ、現代の食文化の推移の一端を考察した。<b>[調査方法]</b> 長崎県の主婦783名に自記式質問紙調査法によりアンケートに答えてもらった。(1)味噌汁、吸い物、煮物、麺類、雑煮、スープのだしのとり方と、各料理に使用する具体的な天然だし素材について(2)旨味調味料・風味調味料の使用理由について(3)天然だし素材の使用理由について質問し、結果を年代別、仕事の有無別、地域別に比較した。<b>[結果]</b> 料理によって天然のだしの使用率は異なり、味噌汁や吸い物のように、だしが主役となる料理では、煮物や麺類よりも高い比率で天然のだしが使用されており、行事食の雑煮ではさらに使用率が高く、抽出に時間のかかるス-プではあまり天然のだしが使用されていない事がわかった。年代別だしのとり方を比較したところ、年代が高いほど天然のだしを多く使用しており、若い年代ほど旨味調味料や風味調味料を多く使用していることが明らかになった。地域別にだしのとり方を比較すると、市街地で天然のだしの使用率が低く、旨味調味料や風味調味料の使用率が高いことがわかった。また仕事の有無とだしのとり方に関連性は見られなかった。