著者
安達 町子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.82-86, 1988-06-20

いの豚肉の調理性の検討を目的に、豚肉との比較による官能検査、剪断応力の測定、組織観察を行い、次のような結果を得た。1.官能検査の結果、ロース肉を「トンカツ」に調理した場合、3点識別試験により、いの豚肉と豚肉は0.1%の危険率で区別された。また3点嗜好試験では、歯ごたえを除いて、いの豚肉の方が、味、色、香り、総合評価とも有意に好まれた。もも肉を「ローストポーク」に調理した場合、豚肉はやや硬く水気が少ないが、いの豚肉は、少し匂いがあると評価された。2.ロース部位を加熱後、赤身部分を2cm角で1cm厚さに切り、肉硬度試験機で剪断応力の測定を行ったところ、いの豚肉、豚肉に有意の差は認められなかった。3.組織観察の結果、いの豚肉の方が、脂肉が発達し、脂肪交雑の状態もよい、また豚肉の筋繊維にほぐれや裂け目が多く認められた。
著者
日比 喜子 安達 町子 前田 昭子 早川 史子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.183-192, 1999-02-15
被引用文献数
3

The difference in preference for tea, especially for black tea, in the four areas of Shiga Prefecture Keihin region, Hanshin region, and Nagasaki Prefecture was surveyed by questionnaire. The questionnaire was distributed to young female students who had lived in the respective areas for a period of 18-22 years. The respondents in the Keihin and Hanshin regions preferred black tea to green tea. Most of the respondents in each area referred to the taste as the reason for their tea preference, while aroma was more referred to by the respondents who preferred black tea than those who preferred green tea. A general low frequency of drinking black tea was seen in the four areas. Those who preferred black tea tended to drink more of it than those who preferred green tea. The serving methods were different in the two areas where the respondents preferred black tea. In the Hanshin region, the preference was for black tea brewed by pouring boiling water on to the tea leaves, and served with sugar and lemon or with sugar and milk. In the Keihin region, on the other hand, the preference was for canned black tea served with sugar and lemon or with sugar and milk.
著者
山下 エリ子 重久 麻衣 本岡 聖子 安達 町子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.76, 2003

<b>[目的]</b> だしは料理の味の基本となるものであり、わが国では昔から昆布、かつお節、煮干しなどを使ってだしをとり、そのだしで料理のおいしさを引き出してきた。だしをとるということは少々手間のかかることであり最近では、便利な旨味調味料、風味調味料の流通や、女性の社会進出も伴って、家庭でだしをとることが少なくなっているように思われる。そこで、長崎県の主婦を対象に、現在、料理によってどのようなだしのとり方をしているのかを調べ、現代の食文化の推移の一端を考察した。<b>[調査方法]</b> 長崎県の主婦783名に自記式質問紙調査法によりアンケートに答えてもらった。(1)味噌汁、吸い物、煮物、麺類、雑煮、スープのだしのとり方と、各料理に使用する具体的な天然だし素材について(2)旨味調味料・風味調味料の使用理由について(3)天然だし素材の使用理由について質問し、結果を年代別、仕事の有無別、地域別に比較した。<b>[結果]</b> 料理によって天然のだしの使用率は異なり、味噌汁や吸い物のように、だしが主役となる料理では、煮物や麺類よりも高い比率で天然のだしが使用されており、行事食の雑煮ではさらに使用率が高く、抽出に時間のかかるス-プではあまり天然のだしが使用されていない事がわかった。年代別だしのとり方を比較したところ、年代が高いほど天然のだしを多く使用しており、若い年代ほど旨味調味料や風味調味料を多く使用していることが明らかになった。地域別にだしのとり方を比較すると、市街地で天然のだしの使用率が低く、旨味調味料や風味調味料の使用率が高いことがわかった。また仕事の有無とだしのとり方に関連性は見られなかった。
著者
日比 喜子 安達 町子 前田 昭子 早川 史子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.183-192, 1999-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26

滋賀県, 京浜地区, 阪神地区および長崎県の4地域において, それぞれを主な生育地とする女子学生 (18~22歳) を対象に茶, 特に紅茶の嗜好に関するアンケート調査を行い, 次のような興味ある結果が得られた.(1) 緑茶と紅茶の嗜好の比較では, 京浜地区と阪神地区では緑茶より紅茶の方が好まれるが, 滋賀県と長崎県では緑茶および紅茶の嗜好に有意差がなかった.(2) 緑茶あるいは紅茶を好む理由については, 地域間に有意差は認められず, いずれの地域においても緑茶あるいは紅茶を好む理由は圧倒的にそれぞれの “味” であり, “色” をあげた者はごくわずかであった.また, 茶を好む理由として “香り” をあげた割合は, 紅茶嗜好者の方が緑茶嗜好者よりも高かった.(3) 女子学生の紅茶飲用頻度は概して低いが, 飲用頻度の平均値は茶葉から抽出する紅茶よりも缶入り紅茶において, また, 緑茶嗜好者よりも紅茶嗜好者において高かった.しかし, 最も好きな紅茶は, 全体的には, 緑茶・紅茶の嗜好にかかわらず, 茶葉から抽出して飲む紅茶であった.(4) 缶入り紅茶の中では, いずれの地域においてもミルク紅茶が好まれるが, 特に滋賀県, 長崎県で非常に好まれていた.茶葉から抽出する紅茶の中では, いずれの地域でも紅茶液をそのまま飲む, 砂糖だけ入れて飲む, および砂糖とミルクを入れて飲む紅茶が好まれるが, 特に砂糖とミルクを入れて飲む紅茶は阪神地区で非常に好まれていた.(5) 緑茶嗜好者よりも紅茶嗜好者が多い京浜地区と阪神地区の紅茶嗜好者について, 前者では缶入りのレモン紅茶およびミルク紅茶を好み, 後者では茶葉から抽出して砂糖・レモンを入れる紅茶, および砂糖・ミルクを入れる紅茶を好む.
著者
安達 町子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.282-286, 1994-11-20
被引用文献数
2

鶏がらスープストックの味やにおいに及ぼす下処理の影響を官能検査、溶出成分、香気成分の分析により調べた。その結果、鶏がらを水洗したストックに比べ、熱湯処理、30分間浸漬、下ゆで等の下処理をすると、鶏がら臭が弱められ、その効果は、下ゆでが最も高く、30分浸漬、熱湯処理の順であった。この結果は、香気成分の分析からも確認された。水洗したストックに比べ、下処理をすると、総窒素量、アミノ酸窒素量が減少し、うま味は多少減少するが、官能検査では鶏がら臭が弱く、スープとして好ましいと評価された。